はじめに
こんばんは、マークです。 本日は第3回として憲法の私人間適用、団体構成員の信教の自由についてやっていきたいと思います。
試験の前に頭の中の整理でき、有益だと思います。
本日の問題
Xは、居住する地区の住民で組織する地域自治会Yの構成員。また、特定の宗教信者である。自治会Yは町内のA神社に費用を支出。自治会費に含めて各家庭から徴収していた。Xは信教の自由を侵害するとしてA神社に関する費用を控除した額の自治会費を支払うとの申し出をしたが、公正として扱われなくなった。 XはYに対し、Yの行為はXの信教の自由を侵害するとして主張。不法行為に基づく損害賠償請求を提起。これらの事象に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。
Y自治会は地縁による団体として地方自治法260条の2に基づき法人格を取得している。また、全戸加入制の運営がされている。
論点
・私人間効力
・団体の構成員の信教の自由
ベースとなる判例
佐賀地判H14年4月12日
自治会費に含まれる特定宗教費(神社関係費)の支払いを拒絶した自治会員に対し、自治会員としての取り扱いをしなかった自治会の行為は、神社神道を信仰しない自治会員の信教の自由を侵害し違法であるとして、自治会員の地位確認請求が容認されたが、不法行為による慰謝料請求は棄却された事例
注意点(自分なりに組み立てられるか)
・いきなり私人間適用にとびつかないこと
・Y自治会はXを構成員としえ扱わなかっただけであり、直接Xの信教の自由を直接制約していない。しかしながら問題文の事実からXの自由への制約がある。
・私人間適用については端的に書く。民法709条の必ず指摘。
・判断基準は比較較量するが、具体的な判断基準や判断要素を的確に指摘すること。
条文
・20条1項
答案構成
第1 問題提起 自治会YがXの信教の自由を侵害しないか
第2 Xの信教の自由は憲法で保障される
~ここまでをまず書くことが原則。そのうえで、
第3 憲法は国が守るべき法律。私人間に適用できるのか?
1.現代社会では私人でも大手企業等の社会的権力による侵害がある。
個人の人権は保護する必要があるし、法律の原点となる憲法の精神を何らかの形で適用すべき。
私法の一般条項(公序良俗、信義則、不法行為)を媒介し、憲法の人権規定を間接適用する。
2.あてはめ
本件ではY自治会の行為が違法となるかが問題(不法行為 民法709条にあたるか?)
第4 私的団体の行為が構成員の信教の自由を侵害するか否か検討
1.規範定立
信教の自由は重要だが、私的団体は構成員に特定の宗教を強制してもただちに信教の自由を侵害するとはいえない(結社の自由 21条1項)。
そこで、侵害するか否かは比較較量によって決する。具体的には
①団体の性質 ~加入の自由性、公共的性格
②構成員に要請される協力義務の性質
③および構成員の被る不利益
を総合考慮して判断
2.あてはめ
①全戸加入の運用→加入の自由は制限されている
地方自治法260条の2を基づき法人格を取得→公的性格
②神社は神道と関連する宗教施設。これに費用を支出するということは間接的でも神道を援助する趣旨。
自治会費の徴求とA神社への支出は具体的関連性あり。
Xに要請される協力義務は事実上宗教上の行為への参加強制となる。
③自治会は住民の地域生活に密接した共同活動やサービス
→Xが構成員として取り扱われず、これらの便宜を受けていないという重要なもの。
以上を総合考慮。Yの行為がXの信教の自由を侵害→違法なもの→不法行為
3.結論
Yの行為は、Xの信教の自由を侵害し、違憲である。

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