倒産法 論文1(未払い給与の取り扱い、免責許可、自然債務) 

論文 倒産法

はじめに 

こんばんは。マークです。本日は倒産法(選択科目として倒産法を選んでいます)の論文第1回目をやっていきます。 

試験前にぱっとみて頭の中を整理することを目的としています。有用だと思いますよ。 

本日の問題 

☆倒産法の問題は時系列で整理することが必要。 問題全体は長いので書かないがおおよそ次の時系列で内容が書かれている。

登場人物~A:飲食店経営、従業員B、弁護士C、破産管財人D、Aの友人E 

・R5/01/25~元もと月間30万円だったBの給与が10万円減らされ、20万円で支給 

・R5/08/××~Aは高級車を売却→FX投資→失敗し更に借金 

・R5/09/20~AはBに09/25分給与と予告手当を支払い、Bを解雇 

・飲食店を営業停止 

・弁護士Cに破産手続を依頼、免責許可申立 

・R5/11/14~破産手続申立て 

・R5/11/21~破産手続き開始 、管財人Dが選任

〔設 問〕以下の1から3について独立したものとして解答せよ。
1.Bは、Dに対し、令和5年1月25日支払分以降の給料の一部(毎月10万円)が支払われておらず、同年9月20日には解雇されて職を失った。家族も含めて生活に困窮している旨を訴えた。管財人Dは、一定程度の破産財団を形成することができ、Bへの未払給料を弁済しても他の優先的な債権者を害することはないと判断し、未払給料全額を配当手続によらずに弁済しようと考えている。未払給料債権が破産手続においてどのように取り扱われるか説明した上で、DがBに対し配当手続によらずに上記弁済をすることが破産法上のいかなる根拠に基づくものであるかについて、その趣旨にも言及しながら説明せよ。その際、労務提供期間によって弁済の根拠が異なる場合、場合分けをして説明せよ。なお、未払賃金の立替払制度については言及不要。

2.Aの免責不許可事由の有無及びその内容について説明した上で、裁判所はAにつき免責を許可することができるかについて説明せよ。
3.Aの破産手続は、最後配当が行われて終結したが、下記の①から③までを含む届出破産債権について、配当によっても全額の満足を受けられなかった。Aの免責手続については、免責許可の- 2決定、確定。
① 飲食店で使用していた食材の未払の仕入代金
② 離婚した元配偶者との間で合意した子の養育費で破産手続開始前に生じた未払金
③ 令和5年10月20日にAが利用したレストランでの高額の飲食費のクレジット
カード会社の立替金
⑴ Aについての免責許可決定の確定で上記①の債権はどのように取り扱われることとなるか、免責許可決定の効力を踏まえつつ、説明せよ。
⑵ 上記②及び③の各債権が非免責債権に該当するかについて説明せよ。

論点 

・時期による未払い給与の債権種類が理解できているか、どういった扱いになるか 

・免責不許可事由があるのか。あった場合裁判所は最終どうするか。 

・免責許可となった債権の効力はどうなるのか。 

ベースとなる判例 

  予備試験令和6年の倒産法問題を使用しています。 ~条文操作がメインとなったものと判断

注意点(ここが本当に自分なりに問題点としてあげられるか) 

・債権の種類と条文をしっかりと押さえておこう。またどうやって債権者は回収できるのかについても覚えておこう。条文操作が即座にできないと時間切れになる。 

・財団債権、破産債権(でもそのうちの優先破産債権) 

・配当によらない例外が適用できる場合の根拠条文 

・免責許可決定後の債務はどうなるか 

・免責許可できない債務とはどのようなものがあるのか 

条文 

本件を解くのに最低必要な条文。これを即座に思いだせるようにしないと勝てないぞ。

・破産法149条1項~破産前3か月の給与請求権は財団債権  

・破産法2条7項~財団債権は破産手続きによらない随時弁済を受けられる。 

・破産法151条 ~財団債権は破産債権に先立って弁済

・破産法152条1項~破産財団が財団債権の全額を払えないときは優先権があっても割合で

・破産法2条5項 ~破産債権は破産手続き前に生じた財産上の請求権で財団債権でないもの

・民法306条2号 ~一般の先取り特権~雇用関係で生じた債権(きょうこそにちよう、共益・雇用・子の監護・葬式・日用品)

・民法308条~雇用関係の先取特権 

・破産法98条~優先破産債権~一般の先取特権は他の破産債権に優先する

・破産法101条1項 ~給料の請求権は弁済を受けないと困る場合、裁判所は管財人の申立もしくは職権で弁済を許可することができる。ただし他の先順位や同順位の破産債権者の利益を害せない。

・破産法252条1項4号 ~これがなければ免責許可決定できる内容の一つ~浪費又は賭博、射幸行為で著しく財産減少または過大な債務を負担

・破産法252条2項~裁判所は1項で列記された免責できない内容があっても一切の事情を考慮して免責許可できる。

・破産法253条1項~非免責債権列記

・破産法253条1項4号ハ、民法766条~子の監護に関する義務 

・破産法253条1項2号~破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

答案構成 

第1 設問1 

1.R5/08/21~09/20までの未払い給与 

(1)未払い給与債権の法的性格 

破産手続開始前3か月間の使用人の給料は財団債権(破149-1、破2-7) 。

破産手続き開始はR5/11/21→よってR5/8/21~9/20に発生した未払い給与10万円は財団債権  

(2)配当によらない根拠 

財団債権は随時弁済可能、財団債権総額を弁済するのに足りないことが明らかな場合を除き破産債権に先立って弁済(破2-7、151、152-1) 

本件では Bへの支払いをしても他の債権者を害さない。 

Bは配当手続きによらず、弁済を受けることができる。 

2.R4/12/21~R5/8/20 の給与債権

(1)未払い給与の法的性質(破産法2条5項の要件にあてはめて確認する)  

上記1以外の破産手続き開始前に発生した給与債権(開始3か月以上前のもの)は 

〇破産手続き開始前の雇用契約に基づくもの(手続き開始前の原因に基づいて発生) 

〇破産者に対する財産上の請求 

〇執行可能(⇐ これは条文にないので注意!!) 

〇財団債権に該当しない 

~これらにあてはまれば「破産債権」にあたる。 

~ここで民法上、給料債権は一般の先取特権を有することとなり、「優先破産債権」となる。(民法306条2号、308条、破産98条 

~減額された給与(R4/12/21~R5/8/20  きちんとカウントしてみよう)

12/21→1/20 

1/21→2/20 

2/21→3/20 

3/21→4/20 

4/21→5/20 

5/21→6/20 

6/21→7/20 

7/21→8/20 

の8回×10万円=80万円は破産手続き開始前の給料債権として「優先的破産債権」。(しっかりと金額を確定しよう) 

(2)配当によらず弁済ができる 

・弁済を受けなければ生活に困難を生ずるおそれあり、財団債権や他の線順位、同順位の優先破産債権を害しないときに限り破産管財人の申立もしくは職権で弁済できる (破産法101条1項)。 

本件ではDは未払い給与を弁済しても他を害しないと判断。→管財人Dの申立でBに対して弁済できる。 

第2 設問2 

1.免責不許可事由の有無、内容(事象と意味づけをしていく) 

(1)免責不許可事由の有無  

・AはFXで損失→賭博その他の射幸行為をしたことにより著しく財産を減少させた、又は過大な債務超過を負担した に該当(破産252条4号)。 

(2)免責不許可事由の内容 

ア)賭博その他の射幸行為~ギャンブルだけでなく、先物オプション取引のような投機的取引も含める。→FXはその典型→賭博その他の射幸行為が認められる。 

イ)AはFXにより損失を膨らませ、借入金返済が困難。→射幸行為「によって」「著しく財産を減少させた」といえる。 

ウ)したがってAには免責不許可事由が認められる。 

2.裁判所の判断(破産252条2項) 

免責不許可事由があったとしても一切の事情を考慮して免責を許可することができる。 

→裁判所はAのその他の事情から面積が相当と判断できる場合には免責を許可することができる。  

第3 設問3 

1.小問1(破産253条1項) 

(1)免責許可決定が確定→非免責債務に該当する場合を除き、責任を免れる。 

・消滅するわけではない→自然債務としては残る。 

(2)①の債権は非免責債権に該当しない。→自然債務となる→強制執行できない。 

2.小問2 

(1)②について 

ア)②は養育費 

破産法253条4号ハ、民法766条 子の監護に要する費用は責任を免れない 

イ)以上より②は非免責債務 

(2)③について(破産法253条1項2号) 

ア)悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権に該当しないか →悪意まではない(あの店を困らせてやろうはない)→非免責債務とはならない 

イ)「悪意」~単なる故意ではなく、積極的な害意を意味する 

ウ)すでに借入金返済が困難。なのに高級レストランで高額の飲食、クレジットカード 使用。→不法行為に基づく損害賠償請求権たる性質→しかし積極的な害意を認めるに足る事情なし。→非免責債権にならない。 

                                 以上 

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