出題頻度
こんばんは、マークです。行政契約、行政指導は毎年どちらかは出ていて、時には両方ともでるといった頻出の分野となります。自分なりに検討しましたので内容は有益と思います。
行政契約の定義
定義: 行政契約とは、行政機関が私人との間で締結する契約で、行政目的の実現を図るための法的手段である。行政行為と異なり、私人の同意を要する双務的な法律行為で非権力的である点が特徴。
行政契約の類型
①対等契約型:行政機関が私人と対等の立場で締結する契約(例:公有財産の売買契約、国家賠償の和解契約)。
②特別権力関係型(行政上の特別契約):行政機関が公権力的地位に基づき締結する契約 (例:公共事業の委託契約、補助金交付契約)。
注意:また準備行政、給付行政、規制行政における契約という形で分類することもある。
なかでも規制行政における契約がよく聞かれ、公害防止協定がそれにあたる。
聞かれることは以下。
公害防止条例と廃棄物処理法 使用期限を定めたものの契約は法的拘束力があるか?
→ある。H21年7月10日判例
将来の廃止を約することは処分業者独自の自由な判断で行えること。
それを定めた条項には法的拘束力があるとした。
考え方(説は)契約説と紳士協定説があるがこれは契約説に立った考え方。
行政契約の法的根拠
– 明文の法令に基づくもの(例:地方自治法、補助金等に関する法律)。
– 判例上、明文の根拠がなくても、行政目的の達成に必要かつ合理的であれば、行政契約の締結は許容される(最判昭和60年10月25日)。
・行政契約と行政行為の比較
| 項目 | 行政契約 | 行政行為 |
| 法的性質 | 双務契約 | 一方的公権力行使 |
| 同意の要否| 必要(合意) | 不要(行政庁の一方的意思表示)|
| 不服申立て| 原則として民事訴訟| 行政不服申立て・取消訴訟 |
※短答では、行政契約が私人の同意を要すること、行政行為とは異なる法的性質を持つことが問われやすい。
行政契約の効力と争訟手段
– 契約内容に違反があれば、民事訴訟で履行請求や損害賠償請求が可能。
– 行政契約の取消し・無効確認は、原則として民事訴訟で争う(行政事件訴訟ではない)。
過去問題
・地方自治体が売買契約、請負契約をする際は原則どんな形態?
→一般競争入札が原則で場合によっては指名競争入札や随意契約というものもある。
・指定管理者の指定は委託か?→違う。行政処分である。
・随意契約に違反→判例:当該契約を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える法令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効となる。
・地方自治体が債務負担する場合、予算決議+契約締結についての議会の決議が必要
・公害防止条例と廃棄物処理法 使用期限を定めたものの契約は法的拘束力があるか?
→ある。H21年7月10日判例 将来の廃止を約することは処分業者独自の自由な判断で行えること。 それを定めた条項には法的拘束力があるとした。
・水道契約の申込みが適正かつ合理的な供給計画によっては対応できない→正当な事由があるとして給水契約申し込みを拒否できる。
行政指導の定義
定義:行政指導とは、行政機関が法的拘束力を伴わず、任意の協力を求める形で私人の行動を誘導する行政活動。行政の柔軟性を確保する手段として用いられる。
行政手続法による規律(第32条〜第36条)
行政指導に関しては、行政手続法により以下のような規律がある。
(1)行政指導の一般原則(第32条)
– 行政指導は、相手方の任意の協力によって行われるものであり、義務を課すことはできない。
– 不利益な取扱いを示唆して相手方の意思を不当に拘束してはならない。
(2)行政指導の方式(第33条)
– 行政指導を行う際は、原則としてその趣旨・内容・責任者を明示しなければならない。
(3)中止の求め(第34条)
– 相手方は、行政指導の中止を求めることができる。
(4)処分との関係(第35条)
– 行政指導に従わなかったことを理由に不利益処分をしてはならない。
(5)申請に関連する行政指導(第36条)
– 許認可等の申請に関連して行政指導を行う場合、申請者の意向に反して申請を取り下げさせてはならない。
※短答では、行政指導の「任意性」や「不利益取扱いの禁止」など、行政手続法の条文知識が問われやすい。
行政指導と行政行為の違い
| 項目| 行政指導 | 行政行為|
| 法的拘束力| なし | あり|
| 不服申立て | 不可(原則)| 可(取消訴訟等) |
| 任意性| 高い| 低い(強制力あり) |
判例のポイント
– 行政指導が実質的に義務を課す場合、違法とされる可能性がある(例:最判平成17年7月14日:建築確認申請の取下げを行政指導で強要した事案)。
– 行政指導に従わなかったことを理由に不利益処分を行うと、違法とされる(行政手続法35条違反)。
短答式試験での出題傾向と対策
1. 出題傾向
– 行政契約と行政行為の違いに関する正誤問題。
– 行政指導に関する行政手続法の条文知識(特に第32条〜第36条)。
– 判例の理解(行政契約の法的根拠、行政指導の違法性判断)。
2. 学習のポイント
– 行政契約は「私人の同意が必要」「民事訴訟で争う」点を明確に。
– 行政指導は「任意性」「不利益取扱いの禁止」「申請取下げの強要禁止」など、行政手続法の条文を正確に理解。
– 判例の事案と結論を押さえ、選択肢の事例問題に対応できるようにする。
過去問題
・文書による行政指導を実施。再度口頭で行う、口頭で行った趣旨内容、責任者を記載した書面を求められた場合、交付の必要があるか?
→ない。行手法35条4項~条文問題なのだ
これと同じような問題で口頭での行政指導に対し、利害関係人が書面をだせといったらどうするか?という問題もある。あくまで相手方からの請求があった場合に限定されるので利害関係人が出せと言っての出す必要がない。
・国の行政機関が地方公共団体に行う行政指導には行手法の規定は適用されない→×
・何人も法令に違反する事実があり、その是正のためにされるべき行政指導がされていないときは当該行政指導の根拠となる規定が法律に置かれていないとしても、当該行政指導をすることを求めることができるか?→できない。法律の根拠がいる。
・行政指導指針を策定する場青は意見公募が必要か?や→必要 36条、39条
・行政指導に従わなかった場合に指名公表しますという規定が存在した場合、不利益な取り扱いをしないとした32条2項に抵触するか?→しない。規定がなければ抵触する。
まとめ
今日は行政契約と行政指導のところについて自分なりに検討してみました。条文をしっかりおぼえることと、判例があるのでしっかりと覚えよう、やればできる。お休みなさい。


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