行政法 短答式9-4(取消訴訟の審理)

短答式 行政法

概要説明

前回までは訴訟要件といって、訴訟として認識してもらえるかどうかということで処分性、原告適格、狭義の訴えの利益があるのかということについてやってきました。本日は本案審理という「争われている行政処分に違法性があるか否かの審理」についてやっていきますね。

審理の対象

処分に違法性があることが大前提。ただし違法すべてが主張できるわけではない。3種の制限。

(1)自己利益関連性~10条1項~原告は自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。

(2)理由の追加・差替え~処分の理由付記が要求されている処分が訴訟で争われている→当初の処分理由以外の理由を追加主張するか当初の理由と替えて異なる理由を主張して処分の適法性を支持する抗弁ができるか

判例(S56.7.14)税法上の更生処分で原処分に付された理由に瑕疵あった場合に別の理由を追加主張できるか?→認められる場合もある。~過少申告をした原告に対して当初利益がでているだろうとしたが、色々調査していると不動産の仕入れは廃業補償費が加算されたが、結局売却価格が本当は高かったことから追加主張した。いずれにしても譲渡益が当初の付記理由より沢山でているのだから原告に格別の不利益を与えるものではない。どんなこともできるとは言わないが、追加主張することを妨げないよ。

判例(H11.11.19)情報公開条例~不開示決定の理由の有無について理由の追加を認めている

(3)行政審判にかかる訴訟の主張制限~実質的証拠法則が認められるときは、審判取消訴訟段階での新証拠の提出に制限が課される。

あと違法の判断時期については処分時説と判決時説とがあるが処分時説

判例(S27.1.25)処分時としている。

訴訟主体の役割(民訴との関係)

(1)訴訟の開始と終了(処分権主義

民訴:いかなる場合に訴訟を開始するか、訴訟で審理される範囲をどのようなものにするか、訴訟をどこまで続けるかを当事者に委ねる。

取消訴訟:訴訟の開始は当事者に委ねられる。訴訟物の特定についても当事者に委ねられている。終了は少し違って、取下げはOK、請求の認諾・和解については争いがある。一定程度の制限がある。

(2)訴訟資料の収集(弁論主義

民訴:裁判の基礎となる資料の収集が当事者の権能であり責任。

行政事件訴訟:弁論主義を基調とする。訴訟の結果の影響が当事者のみにとどまらないので必要があると裁判所が必要と認める時には職権で証拠調べをすることができる(24条)としている。証拠しらべの結果については当事者の意見を聞かなければならない(24条但し書き)。注意したいのが、当事者が申立をしていない事実について当事者が主張しない事実を職権で探知する職権探知主義は採用されていない

(3)訴訟の進行~職権進行主義で民訴、行政事件訴訟とも同じ

(4)釈明処分の特則

裁判所は釈明処分として行政庁に対し、①処分または裁決の理由を明らかにする資料の提出を求めることができ(23条の2第1項)、②審査請求における事件の記録提出を求めることができる(23条の2第2項

審理過程の諸問題

(1)関連請求の移送・併合13条

・関連請求~取消訴訟と密接な関係があり、別個の裁判所や別個の訴訟として手続きを進めるのが不適当。

・内容を13条で列挙。①関連する現状回復または損害賠償請求(1号)、②当該処分とともに1個の手続を構成する他の処分の取消しの請求(2号)、③当該処分に関する裁決の取消しの請求(3号)、④当該裁決に関する処分の取消しの請求(4号)、⑤当該処分または裁決の取消しを求める他の請求(5号)、⑥その他の当該処分または裁決の取消しの請求と関連する請求(6条

・当事者の申立てまたは裁判所の職権で移送できる。

・判例(H17.3.29)~同一の敷地にあって1つのリゾートホテルを構成している複数の建物の固定資産課税台帳の登録価格についてされた審査申出の棄却決定の取消しを求める各請求→13条6号の関連請求にあたる。

・規定のない併合は認められない。以下はOK。①請求の客観的併合(16条)、②共同訴訟(17条)、③第三者による請求の追加的併合(18条)、④原告による請求の追加的併合(19条

(2)訴えの変更

当初の訴訟資料を継承しながら訴えの変更は認められるか。⇒請求の基礎に変更がなければOK(21条1項

(3)訴訟参加

(a)第三者の訴訟参加~訴訟の結果により権利を害される第三者は当事者、第三者の申立て又は職権で参加させることができる(22条1項)。

(b)行政庁の訴訟参加~要件とうは第三者と同様。処分庁の上級行政庁や処分に同意を与えた行政庁などの関係行政庁が参加できる。(23条1項

立証責任

立証責任の分配が定まっていない。判例は3つ。

①判例S42.4.7~処分の無効原因の立証責任は、原告が負う。

②判例H4.10.29(伊方原発訴訟)~裁量行使の不合理性の立証責任は誰が?→立証のための資料が行政庁に偏在。当該判断に不合理な点がないことを行政庁が立証するべき

③判例H26.7.14~情報公開法、開示請求された文書を保有していないので不開示としたことに対する取消訴訟において当該文書を保有しているか否かの立証責任⇒取消を求める原告が立証責任をもつ。

文書提出命令

原告が行政処分の違法性を立証するために行政庁が所持している文書を裁判所に提出させる必要がある。⇒行訴法には明文なし⇒民訴219条以下に従う。(7条)⇒民訴220条4号で5項目の例外があり。重要なものとしては「公務員の職務上の秘密に関する文書で提出すると公共の利益を害するとか公務の遂行に著しい支障を生じる恐れのあるもの(4号ロ)」、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書(自己使用文書、4号二)」の二つ。

・判例(H25.4.19)~全国消費実態調査の調査データ⇒提出により公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれのあるもの にあたるとした。

執行停止制度

・執行不停止の原則(25条1項)をとっており、他方で行政庁の公権力の行使に対しては、民事保全上の仮処分の手続は適用されない(44条)⇒行政行為に「公定力」「自力執行力」があり、裁判所が民事の保全手続きでこれを止めてしまうと、行政運営の安定性や効率を阻害するか可能性があるため、独自の「仮の救済」制度が用意されている。⇒一定の要件もとであれば裁判所は処分の効力、処分の執行の全部または一部を停止することができると規定。⇒原告に仮の保護をあたえる⇒執行停止制度

・要件は25条2項本文⇒取消訴訟の提起があり、処分、処分の執行、手続の続行により生じる重大な損害を避けるために緊急の必要があるとき。

積極的要件①取消訴訟が係属②執行停止の対象となる処分が存在、停止により現実の権利保全となる③重大な損害を回避するため緊急の必要がある。

消極的要件④執行停止しても公共の福祉に重大な影響なし⑤本案につき理由がないのが明らかでない

・執行停止の内容と効果

具体的措置は「処分の効力、処分の執行または手続きの続行の全部または一部の停止(25条2項)。

処分の効力の停止は最も効力が強い。他の対応で目的を達することができるときはできない。

効果は将来に向かってのみ生じる。

・執行停止の限界

執行不停止が原則って合理性あるの?許否処分に対する機能不全、要件の厳しさ、内閣総理大臣の異議の存在というあたりに制度の限界があるが、くわしくはお持ちのテキスト等でご確認を。

・内閣総理大臣の異議(27条1項)~これもお手持ちのテキストみてね。

教示制度 

行政庁が取消訴訟を提起できる処分または裁決をする場合は相手に①被告とすべき者②出訴期間③審査請求前置の有無 について書面で教示する必要があり(46条1項)

処分を口頭でするときは教示不要。

教示義務は当該処分や裁決の相手方のみに生じるものであり、第三者に対しては必要なし。(行政不服審査法に関しては利害関係人から要求があれば教示の義務があるので注意!)

まとめ

本案審理についてやりましたが、各項目を復習して覚えよう。

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