はじめに
こんばんはマークです。本日は令和2年の予備試験問題をやっていきます。
本日の問題
001330820.pdf ~問題は法務局のHPに一般公開されています。(リンクは民事系全部がでるので民法の部分を見てね)
A(親)、B(子)、C(近所のAの友人)。Aが倒れて意識不明。Cが救急車を呼び一命取り留め。
BはCにお礼。Aは依然意識不明。医療費の心配→Cが貸すと。
BはAの代理人であることを示し、Bは借りた100万円をAの入院費支払いに充当。
Bは家裁に後見開始の申し立て。OKとなりBが後見人に就任。
CはBにお金の返済を督促→BはAから代理権を授与されていなかったと許否。
◆問題1~CはAに貸金返還請求できるか?
その後Aは意識回復。後見審判は取り消された。
Aは有料老人ホームに入居。その後は費用が払えなくなり、知人Dから5Mを借りた。
親族Eから不動産を売ってくれと。本来3000万円の価値の土地だが、Eが騙して300万円を超えないとして売買契約を締結。
本件の事実を知ったDはAに対して売契を取消すよう申しむたが、Aは「だまされていたとしても、親族間で紛争をおこしたくない」として取り合わない。まだ支払い債務は期限到来しておらず。
◆設問2 Dが不動産について強制執行するための前提としてEに対して。本件登記の抹消登記手続きを請求することを考えている。考えられる複数の法律構成を示し、Dの請求が認められるかどうかを検討しなさい。
論点
・無権代理人の後見人就任
・無権代理人の本人の地位を相続した場合との違い
・債権者代位~一身専属権の部分で問題があると気付けるか
・詐害行為取消権~詐害意思の判断方法/具体的検討
ベースとなる判例
H6.9.13判例~後見人の追認拒絶~信義則に反して拒絶できない場合がある。
禁治産者Xの後見人A(姉A)がその就職前に禁治産者の無権代理人B(姉B)によって締結された契約の追認を拒絶するか否かは①契約の締結にいたるまでの無権代理人と相手方との交渉経緯および法律行為の内容、②契約を追認することで禁治産者が被る経済的不利益と追認を拒絶することで相手方が被る経済的不利益の比較、③契約の締結から後見人が就職するまでの間に契約をめぐってされた交渉経緯、④無権代理人と後見人との人的関係、後見人が契約に関与した行為の程度、⑤本人の意思能力について相手方が認識した事実、認識しえた事実等を勘案し判断する。
注意点(自分なりに組み立てられるか)
◆設問1
・有権代理(99条)~まずはここから。いきなり無権代理とかに飛びつかない。原則の判断をする。~代理権の授与なし。またBに法定代理権もなし。事務管理(697条)は対内的(BとC)の問題であり、Aには帰属しない。→ここではじめてBは無権代理ということになる。(113条1項)
・Bが成年後見人就任後は、Aの財産管理権に基づき、Bの無権代理行為については追認拒絶をすることになる。→しかしながら矛盾挙動で信義則に反するという問題になる。(1条2項)
◆設問2
・無資力である債務者が行った法律行為について債権者がいかなる手段をとることができるか。→無資力ときたらすぐに 債権者代位(423条1項)、詐害行為取消権行使(424条1項)
・詐欺取消権が債権者代位権における被代位権利となるか否かは、一身専属権の趣旨と絡めて考えないといけない。
・詐害行為取消権は債務者が債権者を害する意思があったのかなかったのか等で判断。
条文
・99条、697条、113条1項、1条2項、423条1項、424条1項、96条1項、121条、121条の2第1項
論証
成年後見開始の審判より前にみずから無権代理行為を行った者が、被後見人の後見人として同契約の追認を拒絶することは、矛盾挙動として信義則(1条2項)に反し許されないのではないか。
たしかに無権代理行為をした者が、後見人に就任したことを奇貨として追認を拒絶することは、信義則に反するとも思える。しかし常に追認拒絶を否定することは、制限行為能力者保護の観点から妥当でない。そもそも、後見人は被後見人との関係においては専らその利益の為に善管注意義務を負う(869条、644条)ため、後見人は、その時点における被後見人のおかれた諸般の状況を考慮したうえ、その利益に合致するよう適切に代理権を行使することが要請される。
そこで制限行為能力者保護と取引安全の調和の見地から、後見人がその就任前に被後見人の無権代理人として締結した契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かは、当該契約の内容・性質、双方の利害得失、交渉の経緯、自己の関与した行為の程度など諸般の事情を勘案し、追認を拒絶することが取引関係に立つ当事者間の信頼を裏切り、正義の観念に反するような例外的な場合にあたるか否かによって判断すべきと解する。
答案構成
第1 設問1
CのAに対する本件消費貸借契約(587条)に基づく100万円の返還請求が認められにはAに契約の効果が帰属しないといけない。
1.Bの任意代理権(99条1項)→認められない。
Bの法定代理(859条1項)→認められない。
事務管理(697条)はあるものの、対内関係にすぎず、対外的な代理権は発生しない。
→Bは無権代理人である。→契約の効果はAに帰属しないのが原則(113条1項)。
2.でもAの成年後見人に就任する前に無権代理行為を行ったBが、Aの後見人として同契約の追認を拒絶するのは矛盾挙動→信義則に反しないか。
(1)◆ここに論証を入れる!!
(2)これを本件についてみると(⇐ 今からあてはめしますよのサイン)
(事実)Bは自らAの代理人として契約締結+100万円受領⇒(評価)無権代理行為関与の程度強い。
(事実)BはAの娘、緊密な関係。契約の翌日に後見開始審判を申立てている。→(評価)自己の意思で後見人に就任。
→このようなBの追認拒絶を認めると厚意で100万円を貸したCは多大な経済的不利益を被る。一方で
受領された100万円は全額Aの入院費として支払われていることから、Aの利益になっているので、追認拒絶が許否されてもAの不利益は大きくない。
よってBが追認拒絶をすることは規範でいうところの例外的な場合→信義則に反し許されない。
3.Cの請求は認められる。
第2 設問2
1.DはAD間の消費貸借契約に基づく500万円の返済請求権を被保全債権としてAのEに対する詐欺取消(96条1項)に基づく原状回復請求権(121条、121条の2第1項)として本件登記の抹消登記手続請求権を代位行使(423条1項)することが考えられる。
(1)Aは不動産を売却すると無資力、Dからの借入について弁済期到来している(423条2項)
(2)詐欺の事実を認識しながらも主張せず無資力となって債務の履行をしない者の意思を尊重する必要はないことから「親族間での紛争はしたくない」との意向は尊重する必要がなく、「債務者の一身に専属する権利」にはあたらない。(423条1項ただし書き)
(3)被代位権利の目的は土地で不可分なので全額について代位。(423条の2)
(4)Dの請求は認められる。
2.Dは請求権を被保全債権として詐害行為取消権(424条1項)に基づく本件売買契約の取消し及び本件登記の抹消登記手続請求をすることが考えられる。
(1)DはAに対して返還請求権を有し(Aの意識は回復して被後見制度は解除されている)
債権は不動産売買契約の「前の原因に基づいて生じたもの」(423条3項)、
Aは無資力なので保全の必要性あり。
(2)詐害性の判断~主観と客観の相関的判断
AはEに欺罔され、3000万円の土地を300万円を超えない価値と認識していたことからDを害する認識はなかった。→主観はない。
本件売買契約は「財産権を目的」とする「行為」であることから客観的には相関性はある。
害する意思がない、つまり主観がないことから詐害行為取消権は行使できない。
よってDの請求は認められない。
以上


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