はじめに
こんばんは、マークです。刑訴の捜査分野で捜査の端緒(捜査のはじまり)についてやっていきましょう。
問われること
どういう形で捜査がはじまっていくのか、どういうきっかけで捜査がはじまるのか、原因・理由を軸にどういうことが行われて、どういうところまで許容されるのかが問われる。
覚えよう
・端緒:捜査機関が「犯罪があると思料」したときに開始。~①犯人や被害者の申告・告知、②第三者の申告・告知、③警察官の活動に由来するもの(③が重要!!)。
・司法警察活動(犯罪の証拠の収集、保全)と行政警察活動(個人の生命の保護・犯罪予防・鎮圧等の公安の維持)~これれは警職法にもあり
・端緒は8類型ほどに分かれる
1.検視(229条):変死者等の死体状況を調べるもの。令状不要。基本検察官が行うが(229条Ⅰ)、検察事務官や司法警察員にさせることもOK(代行検視)。
2.告訴、告訴権者:犯罪事実を申告し、訴追を求める意思表示。被害者が告訴権者の基本。法定代理人(被害者が未成年者)や配偶者・直系親族・兄弟姉妹(本人が死亡しているとき)もOK。書面または口頭で行う。司法警察員が受理したときは、速やかに検察に送付する。親告罪は告訴がないと訴追できないもの。過失傷害罪、名誉毀損等がある。原則犯人を知ってから6か月以内。客観的不可分(一部の告訴の効力は全部に及ぶ)、主観的不可分(他の共犯者にも効力が及ぶ)がある。
3.告発:第三者が訴追を求める意思表示。
4.請求:特定の犯罪だけ設定されている(覚えなくてよい)。
5.自主:発覚する前に自己の犯罪事実を申告すること(245条)。発覚後は該当しない。書面、口頭でOK。自主を受けたら調書作成が必要(検察官、司法警察員)。
6.職務質問~警職法2条Ⅰ~「停止させて」:強制手段にあたらない有形力の行使はOK(必要性、緊急性、具体的状況のもとで相当であること)。任意同行もOK。
7.所持品検査:明文はないが、警職法2条1項の職務質問に付随するものとして行いうるとする。原則は所持人の承諾を得て、その限度において行う。ただしそれがないと一切できなとなると行政警察の目的が達成できないので、「捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらな限り」許容される。⇒米子銀行事件が有名。(所有者は拒絶したが、ボーリングバッグのチャックをあけて内部を一瞥したのがOKとされたやつ。)この時、アタッシュケースをドライバーでこじあけているのだが、これは緊急逮捕に伴う無令状捜索なのでOKという形で認めている。
8.自動車検問:問題は無差別の一斉検問の法的根拠をどこに求めるか。⇒警職法2条Ⅰにおける交通のの取締りに含まれるとする。またどの程度なら許容できるかということも問題となるが、以下4点をみたせばOK。①交通違反の多発する地域等、②短時間の停止で質問、③相手の任意、④自動車の利用者の自由を不当に制約しない方法・態様で行われること。(判例)
過去問(法務省HPより)
・R7
〔第14問〕
捜査の端緒に関する次のアからオまでの各記述のうち、刑事訴訟法の規定上、正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。
ア.告発は、書面又は口頭で、検察官又は司法警察員にしなければならない。⇒〇
イ.被害者の法定代理人は、被害者と独立して告訴をすることができる。⇒〇(これ迷うよね。でも本人の意向に反してもOK。)
ウ.司法警察員は、口頭による自首を受けたときは調書を作らなければならない。⇒〇
エ.変死者又は変死の疑いのある死体が発見された場合、検察官は、検視を行わなければならないが、検察事務官又は司法警察員にこれをさせることができる。⇒〇
オ.検視を行うに当たっては、令状なくして、対象となる死体を切開して胃の内容物を採取することができる。⇒× 外観だけしかだめ。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個 ⇒5番の4個。
・R5
〔第14問〕
捜査の端緒に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。
ア.被害者の法定代理人は、被害者の意思に反して告訴をすることはできない。⇒× できる。
イ.検視においては、死因の確認のために必要があるときには、死体の腹部を切開することができる。⇒× 検視では切れない。
ウ.親告罪の告訴期間の起算点である「犯人を知った」とは、告訴権者において犯人が誰である
かを知ることをいい、犯人の住所氏名などの詳細を知る必要はない。⇒〇 その通り
エ.司法警察員は、口頭による告発を受けたときは調書を作らなければならない。⇒〇 その通り
オ.司法警察員は、自首を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付
しなければならない。⇒〇 その通り
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ ⇒ 答え1
・R5
〔第15問〕
次のアからオまでの各記述のうち、正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし、判例がある場合には、それに照らして考えるものとする。
ア.強盗殺人事件の捜査に関し、公道上を歩いている被疑者の容ぼう等を撮影することは、防犯ビデオに写っていた犯人の容ぼう等と被疑者の容ぼう等との同一性の有無という犯人を特定するための重要な判断に必要な証拠資料を入手するためであっても、被疑者の同意がある場合か、裁判官の令状がある場合以外には許容されない。⇒× 外ならばOK。プライバシー度合が下がる。
イ.強制手段とは、有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであって、この程度に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許容される場合がある。⇒〇 米子銀行事件、ボーリングバッグのやつ。
ウ.車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付け、情報機器でその位置情報を検索し、画面表示を読み取って当該車両の所在と移動状況を把握する捜査手法は、個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって、合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入するものであり、刑事訴訟法上、特別の根拠規定がなければ許容されない強制処分に当たる。⇒〇 その通り
エ.荷送人や荷受人の承諾を得ることなく、宅配便業者の運送過程下にある荷物について、外部
からエックス線を照射して内容物の射影を観察する捜査手法は、その射影によって荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができるだけでなく、その品目等を相当程度具体的に特定することも可能である場合には、荷送人や荷受人の内容物に対するプライバシー等を大きく侵害するものであるから、検証としての性質を有する強制処分に当たる。⇒〇 その通り
オ.警察官が、覚醒剤の使用ないし所持の容疑がかなり濃厚に認められる者に対する職務質問中に、その者の承諾がないのに、その上衣の内ポケットに手を差し入れて所持品を取り出したうえ検査する行為は、職務質問に附随する所持品検査において許容される限度を超えるとの評価を受けることはない。⇒× これは強制になる。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個 ⇒4の3個
まとめ
捜査の端緒についてざっと見ました。条文、判例ともに優しい分野なのでさっといきましょう。法定代理にの告訴については注意かな。それでは。


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