行政法 短答式9-3(行政事件訴訟法)

短答式 行政法

概要説明

今回までは処分性、原告適格をやってきました。今回は狭義の訴えの利益についてやっていきます。

③狭義の訴えの利益

処分性、原告適格があっても当該処分を現実的に取り消してもらう必要性がなければ却下される。現実に取り消してもらう必要性を狭義の訴えの利益という。狭義ってつくと一気にわかりづらくなる感じがあるが、書籍等をよめばなんのことはない。広い意味だと「原告適格」も入れて考えてしまうので、それを除いた部分で考えましょうというもの。

取消訴訟は原告の利益が侵害されているのが前提で、それを救済するのが目的。そもそも利益侵害がない時、本案判決を言い渡しても現実に救済の可能性がない時、もはや救済の必要性がなくなった場合は本案判決の必要性を欠くことになる。

(1)利益侵害が認められない場合

処分が原告にとって不利益でない→取消を求める法律上の利益はない→狭義の訴えの利益なし。

・同一市内の中学校の教諭の転任処分は、当該教諭の身分・俸給等に変動をもらたすものではない→取消を求める利益なし。

・優良運転者事件(H21.2.27)~免許更新にあたり、一般運転者として扱われ優良運転者の記載のない免許証の交付を受けた処分に取消を求める訴えの利益があるか?→そもそもそれがあるとかないかとによって免許の有効期間等が左右されるものではない。→しかしながら利益はある。それは免許証に記載して公に明らかにするとともに更新手続きの優遇措置あり→客観的に優良運転者の要件を満たすのに一般とされて場合は優良運転者の旨が記載された運転免許証の更新処分を受ける法律上の地位を有することが肯定されるから。

(2)行政処分の効力が消滅した場合~実際に問題になるのは処分の効果が完了したとか、時間の経過によって効力が消滅したという時が問題となる。

(a)処分の完了~許認可等の処分に基づき事業が行われ、当該事業が完成。許認可の効果が完了しそれを取消す必要性がなくなるのではないか。

・建築確認処分の取消の訴えの利益(S58.10.26)~建築確認は規定違反の建物の出現を未然に防ぎましょうとすることを目的としており、許可を受けなければ工事ができないという法的効果あり。工事が完了すれば建築確認の取消を求める訴えの利益はなくなる。→完成した後では訴えの利益は認められない。

・都市計画法29条に基づく開発許可処分(H5.9.10)~開発許可処分に対する取消訴訟で既に工事が完了してしまった案件。許可はあらかじめ申請にかかる開発行為が同法33条所定の要件に適合しているかどうかを公権的に判断行為で、これを受けなければ適法に開発行為を行うことができないという法的効果を有するもの。工事が完了すれば開発許可の有する法的効果は消滅する。→よって完成後は訴えの利益が認められない。

⇒でも事業完了すると常に狭義の訴えの利益が否定されるとは限らない!!だから難しい!!

・土地改良事業案件(H4.1.24)~これは短答式でこの判例の内容が丸々問われている。~土地改良事業における事業施行認可処分に対して取消処分を提起。土地改良孤児が完了したが、訴えの利益はあるのか?→事業施行認可処分後に行われる換地処分は当該認可処分が有効であることが前提でそれが取り消されるのであれば換地処分等の法的効力が影響を受けるので「狭義の訴えの利益」が認められるとした。現状回復が困難でもそれは行訴法31条の適用で考慮されるべきなので本件では狭義の訴えの利益を認めるとした。

(b)時間の経過

メーデー等の特定の日時のために使用許可を得ようとして不許可処分を争っているうちにその日を経過すると判決を得るべき現実的な必要性がなくなり、狭義の訴えの利益は失われる。

・メーデー事件(S28.12.23)~前述の通り狭義の訴えの利益は失われる。

しかし、いったん期間が経過しても同種の処分が繰り返し行われていればすでに期間が経過した処分の狭義の訴えの利益を肯定できるのではないかと考えられている。

・東京12チャンネル事件(S43.12.24)~放送局の競願者で免許許否処分を受けたものが他者への免許処分取消を求めていたが、当初の免許期間が満了。しかしその後直ちに再免許が付与されている場合、実質的には当初のものが更新されたと認められるので訴えの利益は認められる。

(3)事後的な事情の変化があった場合

ある行政処分に対して取消訴訟を提起→事後的に事情が変化し、取消を求める理由となっていた不利益状況が消滅した場合、狭義の訴えの利益は失われる。

・長沼事件(S57.9.9)~保安林指定解除処分により洪水や渇水の防止上の利益が侵害されていたが、代替施設の設置で危険が解消された場合→狭義の訴えの利益は認められない。

(4)行政事件訴訟法9条1項括弧書き

処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなお処分又は裁決の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者」については例外的に付随的な効果があることを理由として狭義の訴えの利益が認められると規定している。

・公務員の報酬請求事件(S40.4.28)~公務員が免職処分→取消訴訟で係争中に議員に立候補。立候補で公務員としての職を失うので免職処分を取消しても復職する可能性なし→訴えの利益を欠くのでは?→免職時から立候補時までの報酬請求権を行使する可能性がある。それには免職処分を取消しておく必要がある。→免職処分そのもの効果がなくなることによる実益ではなく、免職処分から付随的に発生した効果が効果がなくなることによる実益(ここの言いまわしが難しいよね)。

・自動車免許停止処分事件(S55.11.25)~停止期間経過後で処分の日から1年以上経過している場合、当該処分の記載のある免許証を所持することで名誉を損なう可能性があることを理由に狭義の訴えの利益が認められるか?→そのような可能性は事実上の効果に過ぎず、狭義の訴えの利益は認められないとした。

まとめ

今日は訴訟要件の主要なもののうち「狭義の訴えの利益」について検証してみた。これは非常に大切で短答でもバンバン聞かれる頻出箇所である。判例を中止にしっかりと心に刻んでおこう。それでは。

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