はじめに
こんばんはマークです。刑訴で証拠能力が問題となる部分としては3種類。伝聞、自白、そして違法収集証拠となります。伝聞、自白はすでにリリースしていますので、本日は違法収集証拠排除法則についてやっていきましょう。
問われること
条文はないので、判例について聞かれます。過去の判例と整合しないものはいくつありますか?といった形で聞かれます。
覚えよう
代表的な判例を押さえておきましょう。
S53.9.7~以下の場合に違法収集証拠排除法則を適用する。①証拠物と押収等の手続に令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、②証拠として許容することが将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合~でもこの事案は警察官が被告人のポケットに手を入れて在中物を取り出したところ覚せい剤だったので差し押さえたという事案。本来所持品検査の限度を逸脱。しかしながら、被告人の諾否が曖昧、許与の限度をわずかに超えたに過ぎない、警察に侵す意図はなかったので必ずしも重大であるとは言えないとして証拠能力は認めたという事案。
H15.2.14~違法性の承継、証拠能力を否定した判例~下記過去問の判例。尿と尿の鑑定書については証拠能力を否定したものなのだが(重大な違法と重大な違法があると評価される逮捕と密接な関連がある証拠)、覚せい剤については(この後差押えらておる)捜索差押許可状によって差し押さえられてものであることから関連性は密接ではないとして証拠能力を認めているというものである。
過去問(法務省HPより)
・R7
〔第17問〕
次の【判例】は、窃盗被疑事実の嫌疑に基づいて逮捕(以下「本件逮捕」という。)された被疑者からその日のうちに任意で尿が採取され(以下「本件採尿」という。)、その尿についての鑑定書(以下「本件鑑定書」という。)が覚醒剤自己使用の事実を立証するための証拠として提出された事案において、その証拠能力を否定した最高裁判所の判例(覚せい剤取締法違反等被告事件に係る最高裁判所平成15年2月14日第二小法廷判決・刑集57巻2号121頁)を抜粋したものである。後記アからオまでの【記述】のうち、【判例】に整合しないものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。
【判例】
「本件逮捕には、逮捕時に逮捕状の呈示がなく、逮捕状の緊急執行もされていない(中略)という手続的な違法があるが、それにとどまらず、警察官は、その手続的な違法を糊塗するため、(中略)逮捕状へ虚偽事項を記入し、内容虚偽の捜査報告書を作成し、更には、公判廷において事実と反する証言をしているのであって、本件の経緯全体を通して表れたこのような警察官の態度を総合的に考慮すれば、本件逮捕手続の違法の程度は、令状主義の精神を潜脱し、没却するような重大なものであると評価されてもやむを得ないものといわざるを得ない。そして、このような違法な逮捕に密接に関連する証拠を許容することは、将来における違法捜査抑制の見地からも相当でないと認められるから、その証拠能力を否定すべきである(中略)。」「本件採尿は、本件逮捕の当日にされたものであり、その尿は、上記のとおり重大な違法があると評価される本件逮捕と密接な関連を有する証拠であるというべきである。また、その鑑定書も、同様な評価を与えられるべきものである。」
【記述】
ア.本件逮捕は窃盗被疑事実の嫌疑に基づくものである一方で、本件採尿やその尿の鑑定は覚醒剤自己使用の被疑事実の嫌疑に基づくもので、本件鑑定書は後者の事実の立証に用いられるものであるから、本件逮捕の違法が、本件鑑定書の証拠能力に影響を及ぼすことはない。⇒× 重大な違法があると評価される逮捕~採尿ははそれと密接な関連を有する証拠~鑑定書も同様の評価となる~証拠能力の否定
イ.違法収集証拠排除法則によって証拠が排除されるための要件である「違法の重大性」と「排除相当性」のうち、「違法の重大性」は、手続の客観的な違法の程度に着目するものであるから、その要件を充足するか否かの判断に際して、捜査機関側の主観的事情が考慮されることはない。⇒× 判例はこれらを重視して違法の重大性を認定した。
ウ.本件逮捕の違法を糊塗する目的でされた逮捕状への虚偽記載や公判廷での事実に反する証言等は本件逮捕後にされたものであるから、これらの行為の存在が本件逮捕自体の違法性の程度に影響を及ぼすことはない。⇒× 嘘をついた行為の存在から令状主義の潜脱や軽視の意図、法無視の態度を重視して違法性の重大性を認定している。
エ.違法な手続と最終的に獲得された証拠との間の因果性(関連性)の程度は、「違法の重大性」の判断における考慮要素であり、「排除相当性」の判断においては考慮されないから、本件逮捕と本件鑑定書との間の因果性(関連性)の程度が、本件鑑定書の「排除相当性」の判断に影響を及ぼすことはない。⇒× 違法な逮捕に密接に関連する証拠の許容は将来における違法捜査抑制の見地から相当でないとして因果関係の程度が考慮された。
オ.鑑定は専門家によって客観的になされるものであり、その結果を記載した鑑定書は定型的に高度の信頼性を有する証拠といえるから、鑑定の対象となる尿が本件のように逮捕当日に被疑者から任意提出されたもので、重大な違法を伴う逮捕と密接に関連するものであったとしても、そのことが、尿の鑑定書の証拠能力に影響を及ぼすことはない。⇒× 重大な違法と評価される逮捕と密接に関連するものについては証拠能力が否定される。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個 ⇒答え 6の5個
まとめ
さて、証拠能力が問われるものとしてはこれが最後である。しっかりと覚えておきましょう。


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