証拠能力を問うのは伝聞だけじゃない(自白法則)刑訴 短答11

短答式 刑事訴訟法

はじめに

こんばんは、マークです。今日は証拠能力のうち自白についてやっていきます。

自白とは自己の犯罪事実の全部または重要部分を認める被告人の供述のことをいいます。過去の黒歴史から自白には色々な制限を設けて誤判をなくそうとしています。①自白の証拠能力を制限し(自白法則、憲38Ⅱ、刑訴319Ⅰ)、②自白に補強証拠を要求しています。(憲38Ⅲ、刑訴319Ⅱ)。


問われること

自白法則の説が問われていたのでそこを中心にやっていきます。自白法則とは以下①~③の自白には証拠能力が認められないという法則のことをいう。

①強制・拷問・脅迫による自白

②不当に長く抑留・拘禁された後の自白

③任意にされたものでない疑いのある自白

覚えよう

不任意自白の証拠能力を否定する自白法則は4つの説がある。

①虚偽排除説~不任意自白には虚偽のおそれがあるから証拠能力が否定されるのだという考え。不任意自白は身体的・精神的苦痛から逃れるためになされた内容虚偽の自白である蓋然性が高く、誤判を招くおそれがあるので証拠能力を否定すると解していくのだ。~自白法則適否の基準は「虚偽の自白を誘発する情況のもとでなされた自白か否か」ということになる。⇒ただし、誘発する情況の認定は困難であり、いきおい自白内容が真実ならばよいとされがち。自白の証明力の判断が先行してしまい、自白法則の意義が失われるとの批判がある(任意性がなければ本当は裁判官は目にしてはいけない)。

②人権擁護説~黙秘権ないし供述の自由を中心とする被告人の人権保障の為に、不任意自白の証拠能力が否定されるとする見解。~「黙秘権、供述の自由を侵害する違法な圧迫のもとでなされた自白か否か」が判断基準。⇒取調べられる際の被疑者の心理状態が基準となるところ、「(そんな基準は不明瞭なので、)この程度では供述の自由を侵害するような圧迫があったとはいえない」と判断されることになりがちで、自白の証拠能力が安易に肯定されかねないとの批判がある。

③任意性説(従来の通説)~虚偽排除説と人権擁護説をあわせた見解。~虚偽自白による誤判や、被告人の黙秘権ないし供述の自由への侵害を防止するために、不任意自白の証拠能力が否定されるとするもの。判断基準は上記①②ご参照。批判も①②ご参照。

④違法排除説(近時の有力説)~自白採取手続きの適正を担保するために、不任意自白の証拠能力を否定するもの。自白法則を、違法収集証拠排除法則の自白版として理解するもの。判断基準は「自白採取手続きに違法があるか否か」。違法性の有無という客観的基準を用いるのが特徴。

◆さて判例は~基本的には虚偽排除説だと言われる(S41.7.1、S45.11.25)~改悛の情を示せば起訴猶予にしてやると検事が言っている⇒任意性に疑いがあり、証拠能力を欠くものとするのが相当。/共謀事件で妻は自供していないのに、「奥さんは共謀を自供した」と告げて被告人に自白させた。⇒被疑者が心理的強制を受け、虚偽の自白が誘発されるおそれのある疑いが濃厚なのでその自白調書は任意性に疑いがあるものといわなければならない。


過去問(法務省HPより)

・R7

〔第26問〕
次のⅠないしⅢの【見解】は、刑事訴訟法第319条第1項で任意にされたものでない疑いのある自白(不任意自白)を証拠とすることができないと定められている根拠に関するものである。【見解】に関する後記アからオまでの【記述】のうち、正しいものには1を、誤っているものには2を選びなさい。
【見解】
I.任意にされたものでない疑いのある自白は、黙秘権を保障するため排除されるべきとする見解⇒人権擁護説
Ⅱ.任意にされたものでない疑いのある自白は、その内容が虚偽であるおそれがあり、誤判防止のため排除されるべきとする見解⇒虚偽排除説
Ⅲ.任意にされたものでない疑いのある自白は、違法な手続により得られた結果として排除されるべきとする見解⇒違法排除説
【記述】
ア.Ⅰの見解に対しては、黙秘権を侵害して得られた自白の証拠能力が否定されるのは黙秘権保障の内容そのものであり、黙秘権と自白法則を混同しているという批判がある。⇒〇 憲38Ⅰは黙秘権を保障、同Ⅱは自白法則を規定。黙秘権を侵害して得られた自白の証拠能力が否定されるということは、黙秘権の保障の内容それ自体から導かれるから、自白の証拠能力が否定されるかどうかの基準を黙秘権の侵害があったかどうかに求めるⅠの見解は黙秘権と自白法則を混同するものと批判される。(人権保障と事実の正確性・適正手続という異なる概念を混同するなということらしい)
イ.Ⅱの見解によったとしても、不任意自白に基づき発見された物は、関連性が不任意自白によらなければ証明されない場合、証拠として許容されない。⇒不任意自白を排除すれば誤判を防止できる⇒単体では虚偽性を持たない派生証拠まで証拠能力が否定される理由はないとも思える⇒なんだけど派生証拠と要証事実との関係が自白内容を前提としてのみ肯定される場合は、自白の証拠能力が否定されることに連動して関連性がに認められないという理由で派生証拠の証拠能力も否定される。
ウ.Ⅱの見解によれば、強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白は、不任意自白の例示とみることができる。⇒〇 その通り。
エ.Ⅲの見解に対しては、違法な手続により得られた自白の全てが任意にされたものでない疑い
があるとはいえないから、そのような自白が全て刑事訴訟法第319条第1項により排除されるとするのであれば、規定の文言上無理があるという批判がある。⇒〇 その通り
オ.Ⅲの見解によれば、取調官が偽計を用いて得た供述は、供述者の主観的な心理状態に影響を及ぼした疑いがある場合に限り、証拠能力が否定される。⇒× 供述を取得した方法が違法であれば証拠能力を否定するものであるので、供述者の主観的心理状態に影響を及ぼしたかどうかは関係ない。

まとめ

本当はさらに自白の補強法則までおさらいしておくべきだが、各人でやっておきましょう。それでは。

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