はじめに
こんばんはマークです。今回から債権各論に入っていきます。債権総論部分は実問題ではあまり問われていなかったので割愛します。
何を問われるか
契約総論は実は多くの項目がある。契約書種類(典型・非典型とか諾成・要物等)、基本原則(契約自由の原則等)、双務契約、同時履行の抗弁、危険負担、解除…。時短対応にて過去問を中心に出題されたポイントについて検証をしていくこととします。それでは始めます。
過去問(法務省HPより)
・R6
〔第8問〕
債権の目的に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
ア.債権者は、外国の通貨で債権額が指定された金銭債権について、債務者に対し、日本の通貨による履行を請求することができない。⇒× 403条 円貨での支払いOKとなっている。
イ.債権の目的が2個の給付の中から選択によって定まる場合において、一方の給付が、選択権を有する者の過失によらず不能となったときは、債権の目的は、他方の給付に特定しない。⇒〇 410条 選択権を有する者の過失でそうなってしまった場合は特定するとなっている。本件では選択権を持つ者の過失はない。だから特定しない。選択権者は不能になった方を選択することもでき、その場合は相手は債務不履行となるので損害賠償請求等ができるようになる。
ウ.選択債権における選択権は、別段の意思表示がないときは、債務者に属する。⇒〇 406条 規定通り。理由は3つ。①債務者の保護②取引の円滑化③一般的な当事者の意思の擬制 ~もし債権者が選択できるのであれば債権者が決めるまで債務履行の準備ができないので不経済ということなのだ。
エ.支分権としての利息債権は、既に発生したものであっても、元本債権から分離して譲渡することができない。⇒× 既に発生したものに関しては分離・譲渡してもOK。 T8.10.4
オ.債務者による利息の支払が1年分以上延滞した場合において、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、延滞した利息を元本に組み入れることができる。⇒まる 405条 規定通り。利息1年延滞→元本繰り入れOK。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ ⇒答え 2のアエ
・R6
〔第10問〕
特定物甲の売主Aが買主Bから代金の支払を受けるまでに、甲は、ABいずれの責めにも帰することができない事由によって滅失又は損傷した。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
ア.甲の滅失がBへの引渡し前に生じた場合において、AがBに対し代金の支払を求めて訴えを提起したときは、Bの危険負担の抗弁は、BがAに対し代金の支払を拒絶することを主張して行使しなければならない。⇒〇 危険負担の抗弁→権利抗弁なので主張しないと認められない。(権利抗弁の例 危険負担、同時履行、留置権、相殺、時効等~なお事実抗弁というものもあり、事実を述べただけでその効果が認められるものもある)
イ.甲の滅失がBへの引渡し前に生じた場合において、AがBに対し代金の支払を求めて訴えを提起し、Bの危険負担の抗弁の主張が認められるときは、請求棄却の判決がされる。⇒〇 その通り
ウ.甲の損傷がBへの引渡し前に生じた場合には、過分の費用を要することなく甲を契約の内容に適合した状態に修復して引き渡すことができるときであっても、Bは、危険負担の抗弁を主張して、代金の一部の支払を拒むことができる。⇒× この場合であれば履行不能にはあたらないので買主は危険負担の抗弁を主張して代金の支払いを拒むことはできない。
エ.AB間の売買契約に甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約が付されていた場合において、甲の滅失がBへの引渡し後であったときは、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができる。⇒× 567条 所有権留保の特約がふされていても、特定物売買に関しては危険負担は引渡しの時に移転する。
オ.AがBに甲を引き渡そうとしたところ、その品質が契約の内容に適合しないものであったためにBがその受領を拒んだときは、その後に甲の滅失が生じたとしても、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができる。⇒〇 適合しないものは通常受領許否するので(正当)、滅失リスクは売主が負う。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ ⇒ 答え4のウエ
・R5
〔第10問〕
契約の解除に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
ア.債務者が債務の履行をせず、債権者が期間を定めないでその履行の催告をした場合において、その催告の時から相当の期間を経過しても債務が履行されないときは、債権者は、契約を解除することができる。⇒〇 541条では期間を定めてとなって規定されている。判例ではそこから相当の期間が経過すれば解除権が発生すると判断している。
イ.債務者が債務の履行をしない場合において、その不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、債権者は、契約を解除することができない。⇒541、542条 2020/4月の民法改正で契約の解除に債務者の帰責自由は不要となった。
ウ.債務者が債務の履行をせず、債権者が催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかなときは、債権者は、催告をせずに直ちに契約を解除することができる。⇒〇 542Ⅰ⑤ 規定通り
エ.AB間で締結された契約に基づき発生したAのBに対する債権甲をAがCに譲渡し、債務者対抗要件が具備された場合において、その後、BがAの債務不履行により当該契約を解除したときは、Cは、Bに対し、甲の履行を請求することができる。⇒× 468Ⅰ 債務者は対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。本問の契約解除の事由はAの債務不履行であり、これは債権譲渡通知よりも前から契約関係の中に存在していたもの。S50.4.25の判例では545条Ⅰの第三者とは解除された契約そのものから生じた債権を譲り受けたにすぎない者を含まないとした。
オ.賃借人が死亡し、複数の相続人が賃借権を共同相続した場合、賃貸人が賃貸借契約を解除するには、その相続人全員に対して解除の意思表示をしなければならない。⇒〇 544条 解除の不可分性
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ ⇒ 答え 3のイエ
・R7
〔第10問〕
AがA所有の甲建物をBに売る契約の解除に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
ア.Aが本件契約をBの債務不履行により解除した場合におけるAのBに対する原状回復請求権は、Aが解除権の発生を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。⇒× 解除権を行使した時から進行する。(T6.11.14)
イ.Bが本件契約をAの債務不履行により解除した場合において、AがBに対し代金の返還義務を負うときは、Aは、代金の受領の時から利息を付さなければならない。⇒〇 545条Ⅱ 規定通り
ウ.Aが本件契約をBの債務不履行により解除したときは、甲建物の所有権は、遡及的にAに復帰する。⇒〇 545条Ⅰ 訴求的に消滅する。
エ.Aが本件契約をBの債務不履行により解除したときは、Aは、Bに対し、代金債務の履行に代わる損害賠償を請求することができる。⇒〇 415条Ⅰ 填補賠償を請求できる。
オ.Aが本件契約に基づく代金債権をCに譲渡し、その譲渡について第三者対抗要件が備えられたときは、Cは、その後にBが本件契約をAの債務不履行により解除したとしても、代金債権を失わない。⇒× 失う。これは頻出問題。468Ⅰ 債務者は対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。本問の契約解除の事由はAの債務不履行であり、これは債権譲渡通知よりも前から契約関係の中に存在していたもの。S50.4.25の判例では545条Ⅰの第三者とは解除された契約そのものから生じた債権を譲り受けたにすぎない者を含まないとした。
1.アエ 2.アオ 3.イウ 4.イエ 5.ウオ ⇒答え 2のアオ
まとめ
本日は債権各論の契約総論をやりました。特に頻出の箇所等は是非見直しておくと良いと思います。それでは。


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