憲法 論文11(知る自由と検閲)(ランクA)

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はじめに

こんばんは、マークです。今日は憲法論文の第11回目をおこなっていきます。

本日の問題

ある県で有害図書を自販機で販売することを規制する条例制定を検討している。憲法上の問題点を論ぜよ。「第〇〇条 1項 自動販売機には、青少年に対して性的感情を著しく刺激し又は残虐性を甚だしく助長し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認められて知事が指定した文書、図画又はフィルムを収納し又は陳列してはならない。 

2項 知事は前項の規定に違反する業者に対して、必要な指示または勧告をすることができ、これに従わないときは、撤去その他の必要な措置を命じることができる。この命令に違反した業者は、3万円以下の罰金に処せられる。

論点

・検閲該当性

・知る自由

・明確性の原則

・限定されたパターナリスティックな制約

ベースとなる判例

・H1.9.19 岐阜県青少年保護育成条例~検閲該当性

・S50.9.10 徳島公安条例事件~明確性の原則

注意点(自分なりの組み立て)

◆知る権利が21条1項で保障されている理論的な説明ができているか。

・憲法21条1項が保障する表現の自由は情報の送り手の自由としてのみ保障。⇒マスメディアの発達により、国民は情報の受け手たる地位に固定化されるようになった。よって表現の自由を送り手(マスメディア等)の自由のみとするのでは、それを享有できるのがマスメディアのみとなってしまう。そのため、21条1項を受け手の側から再構築した情報の受け手の自由である「知る権利」についても21条1項で保障されていると解するもの(通説)。よど号ハイジャック新聞記事抹消事件では「新聞紙の閲覧の自由」が19条、21条、13条の趣旨で保障されるとした。レペタ事件では「各人が自由に様々な意見、知識、情報に接し、これを摂取する」事由が21条から当然に導かれるとしている。

◆岐阜県青少年保護育成条例事件

・条例で、知事は「図書の内容が著しく性的感情を刺激し、または著しく残忍性を助長するため、青少年の健全な育成を阻害する恐れがあると認めるときは、有害図書を指定する」としていた。

・指定された有害図書が青少年に販売、配布、貸付 および自販機に収納することが禁止となる。これに反した自販機で販売する業者が起訴され、有罪となったので、それは憲法21条に反するぜといって上告したもの。

・上告は棄却。争点は3点(①憲法21条1項違反、②21条2項違反(検閲)、③14条違反)。

①自販機への収納禁止は憲法21条1項に違反しない。~過去判例で明白だ。

チャタレイ事件(S32.3.13)~わいせつ文書の定義とか判断者と判断基準(社会通念)等を判示。

悪徳の栄え事件(S44.10.15)~表現の自由は重要だが、公共の福祉の制限の下に立つ。性生活の秩序や健全な風俗の維持については憲法21条1項に反しない。

福岡県青少年保護育成条例事件(S60.10.23)~「淫行」の意味⇒条例上の意味は明確だとした。

②21条2項にいう検閲にはあたらない。~定義としては、検閲は行政権が行う出版物等の全部、または一部について発表前に審査し、不適当と判断したものの発表を禁止・制限する行為。

輸入書籍、図書等の税関検査~行政処分には当たるが、すでに外国で発表されており、国内への持ち込みを禁じただけなので検閲には当たらない。

北方ジャーナル事件(S59.12.12)~仮処分による事前差し止め。裁判所が行うものは行政権が行うものではないので検閲にはあたらない。でも、公益を図る目的でないのが明白ならばだめだけどね。

③14条違反はどうか(法の下の平等)

福岡県青少年保護育成条例事件(S60.10.23)~不明確な内容ではないので他の人たちと変わらないですよ。

・結論としては 有害図書の自販機への収納禁止は、青少年に対する関係において、憲法21条1項に違反しないことはもとより、成人に対しては幾分制約となるかもしれないが、青少年の健全な育成を阻害する有害環境を浄化するための規制に伴う必要やむを得ないものだよね。⇒だから21条1項に反するものではないよ。

条文

・21条2項

・21条1項

・14条

論証

◆知る自由~文書閲覧の自由は憲法上保障されるか?

まず情報の送りてと受け手の分離が顕著になった現代社会においては、表現の自由を受け手の側から再構築した権利として、知る権利を保障する必要がある。そこで知る権利は21条1項により保障されると考える。そして、閲覧者の文書等閲覧の自由も知る自由の一種であるから、同行によって保障される。(再構築~情報を受け取る側の権利や国に情報を開示させる権利として、情報主体(国民・住民)の視点から捉えなおす概念。)

◆検閲の禁止~検閲の意義が問題となる。

この点について。検閲禁止の絶対性を貫徹するために「検閲」とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部または一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適法と認められうるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものをいうと考える、

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答案構成

第1 本件条例~指定された文書等を自販機に収納・陳列することを禁止。本件条例が「検閲」(21条2項)にあたらないか。

1.「検閲」とは~行政権が主体となって思想内容等の表現物を対象とし、その全部または一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき、網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上で不適当と認めるものの発表を禁止すること。

2.本件あてはめ~単に自販機への収納・陳列を禁止する目的にて「検閲」にあたらない。

3.条例も「検閲」を認めるものではない。

第2 本件条例が閲覧者の閲覧の自由を侵害し、違憲とならないか。

1.知る権利~表現の自由を知る側から再構築した権利で21条1項で認められている。閲覧者の閲覧の自由も同様に保障される。(論証)

2.閲覧者は自販機で文書等を入手・閲覧できなくなるから、文書閲覧の自由は条例によって制約を受けているといえる。

このあと、形式的正当化は「法律の留保」に基づく形式的要件を検討、実質的正当化は「比例原則」に基づく目的・手段の合理性を検討する。

3.表現の自由を規制する立法の法文が不明確な場合、そのような立法は正当化されない(明確性の原則)。本件についてみると(あてはめ)、本件条例は規制対象につき、「性的感情を著しく刺激」とか「残虐性をはなはだしく助長」といった主観的概念を用いて定義している。⇒通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読み取れない。⇒明確性の原則に反する。条例は形式的に正当化されない。

4.条例が実質的に正当化されるか

(1)本件条例は文書等を入手する方法を厳しく制限するので規制態様は強度といえる。閲覧の自由は人格発展や政治的意思決定への関与に資する重要な権利(自己実現、自己統治の利益がある)。しかしながら、未成年者を保護する目的での規制はやや緩やかに合憲性の審査をする。

(2)そこで、目的が重要で、手段が効果的であり、かつ過度でない場合に正当化される

5.本件について検討

(1)未成年の健全な育成を図る目的は正当。

(2)有害図書の閲覧を制限しても、目的達成できるとは限らず、手段が効果的でない。また、成人の文書等閲覧の自由を過度に制約するので、手段が過度といえる。よって実質的にも正当化されず。

6.以上より本件条例は違憲無効

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