刑法各論コンプリート(公務執行妨害・犯人蔵匿・偽証)~刑法 短答28・29・30

短答式 刑法

はじめに

こんばんは、マークです。やっと刑法各論も最終です。頑張っていきましょう。

何を問われるか

・業務執行妨害(公務の業務性)と公務執行妨害について

・犯人隠匿も判例の立場

・偽証罪は判例の立場、故意の有無等

公務執行妨害罪(95条)

・保護法益:公務員による公務の円滑な執行。公務は国または地方公共団体の事務のこと。

・行為:公務員が職務を執行するにあたり、暴行または脅迫を加えること。

・公務員:みなし公務員(指定弁護士、日銀の役職員)も含む。

・暴行:公務員に向けられた不法な有形力の行使。体にむけられていることは必ずしも必要ではない。公務員が押収してトラックに積み込んだタバコを路上に投げ捨てるとか、差し押さえられた密造酒の瓶を破砕したりすることが該当する。

・脅迫:およそ、人を畏怖させるに足る害悪の告知。

・職務を執行するにあたり:この要件が必要。職務の適法性が最も重要。

・職務の範囲:ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべて

・執行の範囲:職務を執行する際にという意味 > 職務執行中 

・職務の適法性:明文では要求していないが、違法な職務についてまで刑法で保護する必要性はない(判例・通説)。要件は①職務の執行が当該公務員の抽象的職務権限に属している、②当該公務員が当該職務を行う具体的職務権限を有する、③当該職務の執行が公務としての有効要件である法律上の手続・方式の重要部分を履践している。

・職務の適法性の判断:上記要件は①裁判所が判断し(客観説)、②判断時点は行為時基準で考える。

・適法性の錯誤(職務は適法であったが、これを違法と誤信して暴力・脅迫を加えた場合どう考える?)⇒職務の適法性は客観的構成要件要素と解するので、その認識がなければ事実の錯誤として構成要件的故意が阻却されると考える。⇒ただし職務の適法性は規範的構成要件要素(単なる事実の認識だけでなく、法律や社会通念に基づく評価を要する構成要件要素、裁判官の価値判断が介入するための客観性が必要)+故意の本質は規範に直面し反対動機が形成可能であったにも関わらず、あえて行為に及んだことに対する強い道義的非難。⇒規範的構成要件要素については、素人的認識さえあれば反対動機の形成が可能であったといえる。⇒素人的認識で構成要件的故意が認められる。⇒そうした認識すらない場合は構成要件的故意が阻却される。

・抽象的危険犯:本罪が成立するには、職務執行にあたり、公務員に対し、公務員による職務遂行を妨害するに足りる程度の暴行・脅迫があればよい。そして実際に公務が妨害されたことは必要ではない。また、妨害される具体的危険も要件ではない。~抽象的危険犯である(現住建造物等放火罪、通貨偽造罪、賄賂罪等と同じ)。

・罪数:暴行・脅迫は別罪を構成せず。傷害罪・恐喝罪・強盗罪・殺人罪が成立するときは観念競。

犯人蔵匿、証拠隠滅の罪(103条)

・客体:罰金以上の刑にあらる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者(~捜査対象の者も含む)

・行為:隠匿(場所を提供して匿うこと)、隠避(蔵匿以外の方法で官憲による発見・身柄の拘束を免れさせる一切の行為)

・故意犯:上記客体の認識と行為の認識が必要。

・犯人自身による教唆:犯人が自分だけで逃げるのは当然なので罰はないが、人に教唆した場合は、防禦権の濫用として教唆犯が成立。

証拠隠滅罪(104条)

・客体:他人の刑事事件の証拠に限定。

・行為:①証拠の隠滅、②偽造・変造、③偽造・変造された証拠の使用。

・共犯関係:第三者に教唆した場合は成立(他人を巻き込む点で犯人だから逃げたいのは当然というロジックは成り立たない。一人でやるならまだわかる)。第三者が犯人を教唆した場合は正犯者が構成要件に該当しないので教唆も成立しない。

偽証の罪(169条)

・主体:法律により宣誓した証人に限定

・行為:虚偽の陳述~虚偽とは自らの記憶に反すること(判例、主観説)。

・共犯関係:犯人が証人に教唆した場合、教唆犯が成立する。


実際の過去問(法務省HPより)

・R5~複合問題であり、今回該当はエとオ。

〔第13問〕
次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し、正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。
【事 例】
甲は、高齢女性Aから同人名義のキャッシュカード(以下「カード」という。)を不正に入手するめ、甲が警察官を装いAに電話をかけ、これからA方を訪れる警察官の確認を受けながらカードを封筒に入れ、同封筒をA方において保管する必要があるとうそを言い、警察官に成り済ました乙(25歳、男性)がA方を訪れ、隙を見て同封筒を別の封筒とすり替えて持ち去り、カードを丙に渡して甲に届けさせる計画(以下「本件計画」という。)を考え、乙に本件計画の実行を指示し、乙はこれを承諾した。某日午前9時頃、本件計画に基づき、甲がAに電話をかけて上記うそを言い、乙は、同日午前9時15分頃、A方を訪ね、Aにカードを封筒に入れるよう求めた。しかし、乙の態度を不審に思ったAが、乙に身分証の提示を求めたので、乙は、逮捕を免れるとともに本件計画どおりにカードを手に入れるため、Aを手拳で多数回殴り、恐怖で抵抗できないAからカードを奪って持ち去った。同日午前9時20分頃、乙は、甲に電話で、本件計画どおりカードを入手したと伝えた。同日午前9時30分頃、甲は、丙に電話をかけ、本件計画の内容を初めて説明し、乙からカードを受け取って甲に届けるよう依頼し、丙はこれを承諾した。
丙は、同日午前11時頃、乙と合流し、カードを受け取って乙と別れ、自動車でA方から約50
キロメートル離れた甲方に向かったが、同日午後0時30分頃、甲方付近で降車した際、制服警
察官BからA方での事件とは関係なく職務質問を受けた。その際、丙は、Bを殴り、Bに全治2
週間を要する打撲傷を負わせ、その隙に上記自動車で逃走し、同日午後1時頃、甲と合流して甲
にカードを届けた。その後、丙の交際相手丁は、丙が上記一連の犯行を行い、警察から捜査され
ていることを認識しつつ、丙を丁の自宅にかくまった。
【記 述】
ア.乙がAからカードを奪った行為は、窃盗罪の実行に着手した後、Aに暴行を加えてこれを奪
取したことになるから、乙に事後強盗既遂罪が成立する。[№15]
イ.甲が乙のAに対する暴行・脅迫を認識も予見もしていなかった場合、乙がAからカードを奪
取した行為について、甲に窃盗未遂罪の共同正犯が成立するにとどまる。[№16]
ウ.甲は、当初から丙にカードを運搬させる計画であり、その運搬は重要な役割であるから、丙
には盗品等運搬罪ではなく窃盗罪の共同正犯が成立する。[№17]
エ.丙がBを殴って負傷させた行為には、公務執行妨害罪と傷害罪が成立し、これらは観念的競
合となる。
[№18]⇒ 〇 傷害罪とは観念的競合となる。
オ.丙のいずれの行為についても、証拠上、犯罪の嫌疑が不十分として不起訴となった場合、丁
が丙をかくまった行為について犯人蔵匿罪は成立しない。
[№19]⇒× 嫌疑がかかっていれば対象。

・R7

〔第3問〕
  学生A、B及びCは、【事例】について、【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑪までの( )内に【語句群】から適切なものを入れた場合、正しいものの組合せは1から5までのうちどれか。なお、①から⑪までの( )内には、それぞれ異なるものが入る。
 【事 例】
   甲は、威力を用いて県議会委員会の条例案採決の事務を妨害した。
 【会 話】
  学生A.甲に(①)が成立するかについては、(②)が(①)の客体である(③)に含まれるかが問題となりますね。
  学生B.私は、(③)に(④)との立場から、甲に(①)が(⑤)と考えます。
  学生C.(⑥)についてまで(①)の保護対象に含める必要はあるのですか。
  学生A.私は、(③)に(⑦)との立場から、甲に(①)が(⑧)と考えます。
  学生C.Aさんの立場では、威力を用いて私立高校の入学試験を妨害した場合には(①)が(⑤)のに、公立高校で同じことをしても(①)も(⑨)も(⑧)ことになりかねず、不均衡ではありませんか。私は、(⑥)は(③)に含まれず、それ以外の(②)は(③)に含まれると考えます。【事例】における事務は、(⑥)に当たらず、(③)に含まれるので、甲に(①)が(⑤)と考えます。
  学生B.Cさんの立場では、(⑩)場合、どのように考えるのですか。
  学生C.その行為さえなければ遂行されたはずの本来の警察官の(②)が妨害された場合、その妨害された(②)の中に(⑥)が含まれていたとしても、強制力を行使し得る段階に(⑪)ので、その全体について(①)が成立すると考えます。
 【語句群】
  a.業務妨害罪   b.公務執行妨害罪   c.業務   d.公務   
  e.全ての公務が含まれる   f.全ての公務が含まれない
  g.成立する   h.成立しない
  i.強制力を行使する権力的公務   j.非権力的公務   
  k.職務質問中の警察官に対して威力を用いて抵抗した
  l.警察官に対して犯罪予告の虚偽通報がなされた   m.ある   n.ない
1.①a ③c ⑥i ⑧h ⑩l
2.①b ④e ⑥j ⑨a ⑩k   
3.②c ④f ⑦e ⑨a ⑪m  
4.②d ⑤g ⑦f ⑨b ⑪m   
5.③d ⑤h ⑧g ⑩k ⑪

⇒答えは1

・R6

〔第12問〕
次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
ア.甲は、恐喝事件の被疑者としてAに逮捕状が発せられていると知りながら、Aが犯人ではないと信じてAを自宅にかくまったが、その後、Aが逮捕され、Aに対する有罪判決が確定した。この場合、Aが犯人蔵匿罪の「罪を犯した者」ではないと甲が誤信していたから、甲に同罪は成立しない。⇒× 客体には犯罪の嫌疑を受けて捜索中の者も含まれると解釈されるため。
イ.甲は、Aが窃盗事件の犯人であると知りながら、甲が所有する船舶にAを乗船させてかくまった。この場合、甲が窃盗罪の法定刑が罰金以上の刑であることを認識していなくても、甲に犯人蔵匿罪が成立する。⇒〇 罪名の認識があれば該当する。
ウ.甲は、Aを被疑者とする覚醒剤取締法違反事件の参考人として警察官の取調べを受け、真実はAが覚醒剤を所持したことがなかったのに、それを警察官に隠してAが覚醒剤を所持していたとの虚偽の内容の供述をして、それを信じた警察官に同内容の供述調書を作成させ、同調書に署名押印した。この場合、甲が虚偽の供述調書を作成させた以上、甲に証拠偽造罪が成立する。⇒× 別に法定等で宣誓したわけではないので偽証罪は成立しない。
エ.甲は、Aを被疑者とする殺人未遂事件につき、Bが必要な知識を有する参考人として警察官
の取調べを受ける可能性があることを察知し、知人宅にBをかくまった。この場合、Bが捜査
段階における参考人であったとしても、甲に証拠隠滅罪が成立する。⇒〇 他人の犯罪の証拠だからOK。
オ.甲は、Aを被告人とする恐喝事件の公判に証人として出廷したBの証言後、Bに対し、同公
判係属中、同証言をしたことに対して報復する旨の脅迫文言を記載した文書を郵送して閲読さ
せた。この場合、Bが証言を終えているから、甲に証人威迫罪は成立しない。⇒× 証言後でも成立する。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ

・R7~オだけ隠匿関連

〔第13問〕
【事例】に関するアからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し、正しい場合には1を、
誤っている場合には2を選びなさい。
~省略~
丁は、乙が逮捕されたことを知り、同月7日、知人の戊に対し、自己の逃走資金の提供を依頼した。戊は、同日、丁が現金の詐取を繰り返していたことを認識した上で、逃走資金として現金100万円を丁に手渡した。(⑤)
【記 述】
オ.⑤につき、犯人が他人を教唆して自己を隠避させることは定型的に期待可能性がないので、
丁に犯人隠避罪の教唆犯は成立しない。⇒× 逆である。第三者に教唆したら教唆犯成立。

・R5

〔第12問〕
偽証罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものはどれか。
1.自己が被告人となっている窃盗被告事件につき、知人を教唆して偽証行為を行わせた場合、他人の行為を利用して自ら虚偽を述べたに等しく、被告人が自己の刑事事件につき虚偽を述べても罪にならないから、偽証罪の教唆犯は成立しない。⇒× 他人に教唆したらだめ。教唆犯が成立する。
2.証人が殊更記憶に反する陳述をした場合、その他の証拠からその陳述内容が真実と認められるのであれば、国の審判作用は害されないから、偽証罪は成立しない。⇒× 判例は主観説だから、自分の記憶と違うことを述べてだめ。
3.共犯者が被告人となっている詐欺被告事件に証人として出廷し、証言拒絶権を行使せずに宣誓して自己の犯罪事実に関して虚偽の陳述をした場合、同証人には自己負罪拒否特権があるから、偽証罪は成立しない。⇒× 証言拒絶せずに宣誓しているのであるから偽証罪が成立する。
4.証人がした虚偽の陳述が裁判の結果に影響しなかった場合、国の審判作用に対する具体的な危険が発生しなかったといえるから、偽証罪は成立しない。⇒× 宣誓した証人が虚偽の陳述なので成立。抽象的危険犯なのである。
5.「宣誓の趣旨を理解することができない者」(刑事訴訟法第155条第1項)に誤って証人
として宣誓させた上、その者が虚偽の陳述をした場合、偽証罪の「宣誓」は適法になされなけ
ればならないから、同罪は成立しない。⇒〇 理解しない者に宣誓させても無効だから。
(参照条文)刑事訴訟法
第155条 宣誓の趣旨を理解することができない者は、宣誓をさせないで、これを尋問しなけ
ればならない。
2 (略)

・R7

〔第9問〕
  学生A及びBは、【事例】について、【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑨までの( )内に【語句群】から適切なものを入れた場合、正しいものの組合せは1から5までのうちどれか。なお、①から⑨までの( )内には、それぞれ異なるものが入る。
 【事 例】
   甲は、殺人事件を目撃し、その犯人はXに見えたという記憶であるが、大人しいXが殺人事件を起こすはずがなく、真実はXとよく似たYが犯人であると考え、Xを被告人とする殺人事件の公判廷において、宣誓の上、「犯人はYである。」と自己の記憶に反する証言をした。客観的な真実としては、上記殺人事件の犯人はYではなくXであった。
 【会 話】
  学生A.甲に偽証罪が成立するか否かは、刑法第169条の「虚偽」の解釈によりますね。私は、証人が経験した内容を正確に反映することが刑事司法にとって重要であると考えるので、「虚偽」とは(①)ことであると考えます。
  学生B.私は、Aさんとは異なり、「虚偽」とは(②)ことであると考えます。
  学生A.私の立場からすると、(③)ので、甲の証言は「虚偽」に当たります。甲は、(④)の
で、(⑤)。
  学生B.私の立場からすると、(⑥)ので、甲の証言は「虚偽」に当たります。甲は、(⑦)の
で、(⑧)。
  学生A.判例は、(⑨)と同様の立場に立っていますね。
 【語句群】
  a.客観的真実に反する   b.証人の記憶に反する
  c.客観的にはXが犯人である   d.甲の記憶ではXが犯人である
  e.自己の記憶に反する証言をしていると認識しており、故意も認められる
  f.真実を証言していると認識している以上、故意が認められない
  g.偽証罪が成立します   h.偽証罪は成立しません 
  i.Bさん   j.私
1.①a ③c ⑥d ⑧h
2.①b ④e ⑥c ⑧g
3.②a ④f ⑦e ⑨i
4.②b ⑤h ⑦f ⑨i
5.③d ⑤g ⑦f 

⇒答え5(答えはbadegcfhj)


まとめ

刑法各論まとめが終了しました。試験前にざっと読み返して記憶をよびおこしておきましょう。それでは。

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