はじめに
こんばんは、マークです。本日は秘密を侵す罪と名誉棄損についてやっていきます。はじめます。
問われる内容
◆秘密を侵す罪~①信書開封罪(133条) ②秘密漏示罪(134条)
・この事案は①や②に該当しますか?と問われる。条文の内容、文言の定義をきちんと覚えていますか?という感じで問われます。
◆名誉棄損罪(230条、230条の2)
・条文理解や事案に対して名誉棄損となりますか?という感じで聞かれる。
◆侮辱罪(231条)
・条文の内容、名誉感情を対象とするかどうかといった説を聞かれる。
確認しておくこと
1.秘密を侵す罪(①信書開封罪②秘密漏示罪)
・①~客体:封をしてある信書、行為:封を開けること(中身見てなくてもダメ。開けたらあかん~♪)、親告罪です。
・②~医師、薬剤師、弁護士等、宗教の祭祀の職にある者、またその職にあったもの(これ注意!!)に限定。真正身分犯。秘密とは一般に知られていない事実。漏らすとは他人に告知すること。特定かつ少人数に対して告知した場合でもダメ(構成要件に該当しちゃう)。
・仕事の過程で知ったことは漏らしちゃだめ。
・仕事以外で知ったことは別に話しても良い。(だよね、会話できなくなるわ!!)
2-1.名誉に対する罪(①名誉毀損罪 ②侮辱罪)
・保護法益~名誉だが、内容は争いがある。内部的名誉、外部的名誉、名誉感情のどれが該当するかという問題⇒判例では「外部的名誉」のみ。条文で「公然と(公然性)」が要求されているから。
・行為~公然と事実を適示し、人の名誉を棄損すること。~公然とは:不特定または多数人が認識しうる状態のこと。~事実の摘示:具体的な事実(「馬鹿だ」じゃなくて「オール1を取った」)で生きている人に対する者は真実であろうと虚偽であろうと問わない。死者に対しては虚偽の事実を摘示した場合のみ犯罪となる。
・虚偽の事実って何?ってならないかい?事実には真実の事実と虚偽の事実があり、虚偽の事実は客観的な事実に反する嘘の情報事実(デマ、ガセネタ)のこと。事実=提示された内容 という感じで使っているようだ。
・人の名誉を棄損~抽象的危険犯。法益侵害の現実的な危険が具体的に発生していなくても、一定の危険な行為をしただけで犯罪が成立する。
・親告罪。
2-2. 230条の2(番号と条文が重なって分かりにくいが…)
・真実を摘示しても名誉毀損は成立するので表現の自由と干渉する部分がある。調和の為に規定された。
・要件(3つ)①公共の利害に関する事実の摘示であること、②専ら公益を図る目的であったこと、③事実の真実性を証明できること。~①市民が知る必要のある事実のこと。ゴシップ的なものは当たらない。例外は池田大作の月間ペン事件。大規模な宗教団体の会長で政治的な影響力を有する者の女性問題は公共の利害に関する事実とされた。②専らの意味は主たる動機ということ。③真実であることが証明されなければならない。
・効果~230条の2が何を阻却するのか?→3つの説。①処罰阻却事由説、②構成要件該当阻却事由説、③違法性阻却事由説~③が判例・通説。表現の自由と名誉の保護との調和という趣旨。①は事実の有無にかかわらず名誉毀損が成立することを重くとらえその処罰を阻却する理由とする説。②表現の自由に重きを置き、構成要件該当性を阻却するという考え方の説。
・真実性の錯誤(誤信)が起こった時が問題。判例・通説の違法性阻却事由説と、処罰阻却事由説の2つの説で結論を導き出せればOK。~230条の2を適用するには、摘示された事実の真実性を証明する必要がある。真実性が証明できないときは230条の2を適用する余地なし。でも誤信しているんだから名誉毀損の成立になんらかの影響あるでしょう、という問題。
~違法性阻却事由説:3ステップ(判例・通説の方から)
・①違法性阻却事由の錯誤⇒違法性を否定する事実をご認識なので責任故意を阻却する⇒真実性の錯誤があった場合も違法性を否定する事実を誤認識している限り責任故意が阻却される。
・②誤認識の対象 ⇒ 違法性を否定する事実=違法性阻却事由の要件事実 ととらえ⇒「真実であることの証明があった」を「事実が証明可能な程度に真実であること」が、誤認識の対象となる「違法性を否定する事実」であると解していく。
・③政策的な制限⇒でもすべてを認める訳にはいかない⇒いい加減な調査で無責任なものはだめ。誤認識が確実な資料・根拠に基づいていた場合にのみ責任故意の阻却を認めることとなる。
~処罰阻却事由説からの処理
・真実性を誤信しても故意は阻却されない。⇒確実または相当な資料・根拠に基づく言論は真実性の証明ができなくても35条の正当行為に該当するとして違法性を阻却すると解していく。
~まとめ
・二つの説の違いは?真実性の誤信が確実な資料・根拠に基づく場合はいずれも名誉毀損は成立しない。しかしその資料等が客観的に確実な資料・根拠でなかった場合は結果が変わる。責任故意の阻却と違法性の阻却の違いから生じるものであり、以下の通り。
・違法性阻却事由説から⇒「確実な資料・根拠に基づく」という要件は責任故意阻却のための政策的要件であり、それ自体は故意の対象ではない。⇒「確実な資料・根拠に基づく」という誤信があっても犯罪の成否に何らの影響を及ぼさない。
・処罰阻却事由説⇒「確実な資料・根拠に基づく」という要件は違法性阻却の要件だ。よって「確実な資料・根拠に基づく」という誤信は、「違法性阻却事由の誤信」として処理される。
3.侮辱罪(231条)
・保護法益~①外部的名誉(判例・通説)と②名誉感情とする説もあり。②に対しては230条も231条も公然性を要求している(名誉感情であるなら公然性はいらないはず)。単なる感情は法的保護に値しない。
・行為~事実を摘示しないで、公然と人を侮辱すること。
・親告罪
実際の問題(令和6年、令和7年司法試験予備試験問題 法務省HPより)
◆R6年〔第9問〕(配点:2)
秘密を侵す罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいも
のはどれか。
1.信書開封罪は、信書に記載された人の秘密を保護法益とするため、正当な理由なく、封をし
てある信書を開けたとしても、信書の内容を確認しなかった場合には成立しない。⇒(×)開けたらあかん。
2.秘密漏示罪は、医師や弁護士など人の秘密を知りやすい職にある者を主体とする犯罪であり、
かつて同職にあったが、既に同職にない者については、同罪の主体とはならない。⇒(×)かつてもダメ。
3.秘密漏示罪の「人の秘密」には、精神科の医師が医学的判断を内容とする精神鑑定を行う過
程で知った鑑定対象者本人の秘密は含まれるが、同過程で知った同人以外の者の秘密は含まれ
ない。⇒(×)同過程」で知ったものはダメ。
4.弁護士が、正当な理由なく、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたと
きには秘密漏示罪が成立するが、弁護士が業務とは無関係に偶然知った人の秘密を漏らしたと
しても、同罪は成立しない。⇒(〇)その通り
5.弁護士が、正当な理由なく、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を特定かつ少
数の人に漏らした場合、その者らを通じて不特定又は多数の人へと秘密が漏れなければ、秘密
漏示罪は成立しない⇒(×)特定かつ少人数でもだめよ。
◆R6年〔第13問〕(配点:4)
次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し、正しい場合
には1を、誤っている場合には2を選びなさい。
【事 例】省略あり
Aには死亡事故を起こしたことによる前科があり、乙は、かつてAから同前科があることを聞
いていた。乙は、Aが死亡したことを知り、同月7日、インターネットの掲示板に「Aは、事故
を起こして人を死なせた前科がある。」と書き込み、インターネットを利用する不特定多数の者
が閲覧可能な状態にした。
【記 述】
乙がインターネットの掲示板に書き込んだ行為について、乙が摘示した事実が真実であった
としても、乙に名誉毀損罪が成立する。⇒(×)死者については虚偽の事実を摘示した場合に名誉毀損。
◆R7〔第5問〕(配点:2)
名誉毀損罪に関するアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、誤っているものの個数を1から5までの中から選びなさい。
ア.摘示した事実が真実であった場合、名誉毀損罪が成立することはない。⇒(×)真実を摘示しても成立する。 イ.特定かつ少数の者に事実を摘示した場合、その内容が拡散する可能性があったとしても、名
誉毀損罪が成立することはない。(×)特定かつ少数に対してもダメ。
ウ.法人の名誉を毀損した場合、名誉毀損罪が成立することはない。⇒(×)法人も含まれる。
エ.名誉毀損罪が成立するためには、社会的評価を害するおそれのある状態を生じさせるだけで
は足りず、現実に社会的評価が低下したことを要する。⇒(×)実際には評価低下が起こらなくても成立する。抽象的危険犯だったよね。
オ.名誉毀損罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。⇒(〇)親告罪だったね。
1.1個 2.2個 3.3個 4.4個 ⇒ 4個が正解
まとめ
名誉毀損のところが説があったりして意外とボリュームがある。一応押さえておこう。実際の問題を見るとイメージがわく。たまに超分かりにくい問題が出る(違法性阻却事由説と処罰阻却事由説の細かいところを聞いてくる)場合は捨て問としてあきらめて次の問題に時間をかけよう。どうせみんなできない。


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