刑法 短答6-1(共犯~共犯の本質、罪名従属性)

短答式 刑法

はじめに

こんばんはマークです。本日は昨年令和7年の問題を検証し共犯の本質をみていきます。この問題は時間を取られるくせものの問題だったと記憶しています。戦略も書けるといいなあと思います。それでは始めます。

問題(令和7年司法試験予備試験短答式 刑法 法務省HPより)

〔第1問〕(配点:2)
  学生A、B及びCは、【事例】について、【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から
⑪までの( )内に【語句群】から適切なものを入れた場合、正しいものの組合せは1から5まで
のうちどれか。なお、①から⑪までの( )内には、それぞれ異なるものが入る。
 【事 例】
甲及び乙は、Xに対して傷害を負わせる旨の共謀を遂げ、それぞれ鉄パイプでXを殴った。甲
は、Xが反抗的な態度を示したため激高し、Xに対する殺意を抱き、傷害の故意にとどまる乙と
共にXに暴行を加えたことにより、Xは死亡した。
【会 話】
  学生A.共同正犯の本質について(①)に立った場合、共同正犯の成立は(②)ので、【事例】
では(③)ということになりますね。
  学生B.その考え方は(④)という問題があるのではないでしょうか。さらに、乙には(⑤)の
故意がないのに、(⑤)罪の共同正犯の成立を認めることにも疑問があります。
  学生C.共同正犯の本質について(⑥)に立った場合、共同正犯の成立は(⑦)ので、【事例】
では(⑧)ということになりますね。
  学生A.その考え方を一貫させると(⑨)という問題があるのではないでしょうか。
  学生B.共同正犯の本質について(①)に立ちつつ、構成要件が同質的で重なり合う限りにおい
て共同正犯の成立を認める見解に立った場合、【事例】では(⑩)ということになります
ね。
  学生C.その考え方によると、【事例】において、乙の行為から死亡結果が発生した場合、甲に
(⑪)罪の単独犯が成立するにとどまってしまうという問題があるのではないでしょうか。
 【語句群】
  a.犯罪共同説   b.行為共同説   
  c.同一罪名に限られる   d.異なる罪名でも認められる
  e.甲に殺人罪の共同正犯、乙に傷害致死罪の共同正犯が成立する
  f.甲及び乙に傷害致死罪の共同正犯が成立し、甲に殺人罪の単独犯が成立する
  g.甲及び乙に殺人罪の共同正犯が成立し、乙は傷害致死罪の限度で科刑される
  h.共同正犯の成立範囲が広がりすぎる   i.罪名と科刑が分離する
  j.殺人   k.殺人未遂   l.傷害致死   
1.①a ④i ⑧e ⑩f ⑪k  
2.①b ③e ⑥a ⑧g ⑨i
3.②c ⑤j ⑥b ⑨h ⑪l
4.②d ④h ⑦c ⑧f ⑩e
5.③g ⑤k ⑦d ⑩f ⑪l

検証

・この手の問題は刑法では多くみられると感じる。歯抜けの部分が多すぎて、何を言っているんだという印象を受けるのではないだろうか。

・問題を見る。ああ、甲と乙が共謀してXに傷害を負わせることで一致していたが、途中で甲が殺意をもってしまった。基本的な部分にズレが生じたがどうなるの?ってやつだよね。

・説を知っている人はすらすらと解けるのだろう。でもド忘れした人はひっかかる仕掛けになっている。特に④と⑨は正誤を分けるポイントとなると考えます。

・①~〇〇の立場とくれば、まあ説のお話だろうなあとは予想がつくが、犯罪共同説、行為共同説ってなんだっけ?

・②③もいったん飛ばす。④も飛ばす。

・⑤ 乙になく、甲にあったのは殺人の故意。よって「j:殺人」が入るでしょう。それで、学生Bは「学生Aの言っている説では乙に殺人罪の共同正犯が認められてしまう不都合が発生する」と言っている。

・① じゃあ①の説は犯罪共同説(よく言葉の定義は分からないけど、犯罪共同説は犯罪を同じくする説、行為共同説は行動(自然的な行為)を同じくする説と勝手に解釈)じゃないかと仮に設定する。学生Bの発言から学生Aのいう説ではみんなが殺人罪になるのだから①は「a:犯罪共同説」となる。

【重要】共同正犯の本質に関する見解は三つ覚えておかないといけない。

・その1 犯罪共同説~共同正犯とは数人が共同して特定の犯罪を行うことであり、構成要件の間に重なり合いがあれば、そのうちのより重い犯罪について共同正犯の成立を認め、軽い犯罪の故意しか有しない者には、軽い犯罪の刑罰を科す見解。

・その2 行為共同説~共同正犯とは数人が犯罪に至る行為過程を含めた行為を共同することであり、特定の犯罪を共同して実現する場合はもちろん、単なる行為を共同して各自の意図する犯罪を実現する場合も、それぞれの行為について共同正犯の成立を認める見解。

・その3 部分的犯罪共同説~共同正犯とは数人が共同して特定の犯罪を行うことであり、構成要件が同質的で重なり合う限度で軽い犯罪の共同正犯の成立を認め、重い犯罪の故意を有する者には、共同正犯とは別に、その故意に応じた単独犯を認める見解。

・② 犯罪共同説はみんな同じ犯罪なのだから「c:同一罪名に限られる」が入ることになる。

・③はそのあとの学生Bのコメントで乙にも殺人罪の共同正犯が成立することがおかしいと言っているので、「g:甲及び乙に殺人罪の共同正犯が成立し、乙は傷害致死罪の限度で科刑される」が入る(これしか乙に殺人罪が成立する選択肢がない)。

・【注意】④ 選択肢はhとiのどちらか。流れからすると傷害のつもりだったら殺人罪の共同正犯になってしまうというのであるから、「h:共同正犯の成立範囲が広がりすぎる」というのが入るか?とも思える。→しかし否である。犯罪共同説は重い犯罪の共同正犯が成立するが、軽い犯罪の故意しかないものは軽い犯罪の刑を科すものとなるので、「i:罪名と科刑が分離する」の方が正解。これは説の内容をよく理解していないと間違える。

・⑥ もう一つの説なんだろうね。「b:行為共同説」が入るということか。

・⑦ 選択肢からするとcかdのどちらからが入るようだ。行為(自然行為)を同じくするだけなので共同正犯の成立は「d:異なる罪名でも認められる」となりそうだ。

・⑧ 別々の共同正犯が成立するのか…「e:甲に殺人罪の共同正犯、乙に傷害致死罪の共同正犯が成立する」が入るのかなあ。

・⑨ 行為を共同しさえすれば異質な構成要件間においても共同正犯の成立が認められることになり、「h:共同正犯の成立範囲が広がりすぎる」という批判がある。④で間違ってhを使うと、ここで選択できなくなる。

・⑩ ①の説に立ちつつも重なり合いの範囲で共同正犯が成立するのであれば、「f:甲及び乙に傷害致死罪の共同正犯が成立し、甲に殺人罪の単独犯が成立する」。

・⑪ 傷害の意思しかない乙の行為が死を招いた場合、殺人の意思をもっていた甲はどうなる?→実行行為はあるが結果との因果がない。⇒「k:殺人未遂」だよね。

以上から①a ②c ③g ④i ⑤j ⑥b ⑦d ⑧e ⑨h ⑩f ⑪k

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注意ポイント

・時間がかかるかもと思ったら後回しにする勇気をもつ。短答はタイムマネジメントが重要。刑法と刑事訴訟で60分。各13問ずつ。だから30分で13問。単純に1問に2分ちょっとしか掛けることができない。これをしっかりと頭の中に叩き込んで、マネジメントする。

・ここには絶対これが入るという箇所を探して手掛かりにする。⑤はできるので5番の肢は切れる。

・①~⑪までのところに何が入るかは設問にどちらか選べ的に2つの候補があげられている。例えば①ならaかb、②ならcかdといった感じを問題から読み取る。

・最悪は1の肢から表示されている①a②i③e ・・・と入れて文章を見てみる。これやった人、これが正解なので最初からラッキーとなる。でもほんまいなと思って2とか3の肢もやりだすと時間を食う破目になる。

・あとは神に祈る。

最後に

本日は令和7年の実際の問題を使って共犯の本質についての説を確認しました。最低3つ覚えておきましょう。あとは選択が多すぎて何を言っているのだという問題への対処法も覚えておきましょう。それでは。


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