各論終盤戦 「取引の安全に対する罪」(文書偽造・通貨偽造)刑法 短答25

短答式 刑法

はじめに

こんばんは、マークです。今日は終盤戦で文書偽造、通貨偽造についてやっていきます。それでははじめます。

問われる内容

・判例を軸に公文書のコピーについて公文書偽造罪の客体になるかどうか。誰が名義人となるのか。~判例は客体となることを肯定。

・作成権限

・通貨偽造は罪数が聞かれたりする。

確認しておくこと

◆文書偽造

・保護法益:文書に対する公共の信用

・偽造:名義人と作成者の人格の同一性を偽ること(ズレていること)

・名義人:当該文書から理解される意思や観念の表示主体のこと(読んだ人がこれはだれだれ作成したのだねと想定する人)

・作成者:説が2つ①行為説:物理的に文書を作成した人が作成者、②意思説:文書に意思や観念を表示した人(社長が秘書にこう作ってよと依頼して作成されたものの作成者は社長)~②が妥当。

・文書の内容の真実性については偽造か否かの判断においては無関係である!

・偽造の程度:一般人がみて誤信する程度の外観が必要。

◆虚偽作成

・文書作成権限を有する者が内容虚偽の文書を作成すること。①まず偽造にあたるかを判断し、その上でで、②虚偽作成にあたるかどうかをチェックする 流れとなる。

・偽造は有形偽造、虚偽作成は無形偽造という。(この用語注意!!)

・処罰の対象とするかどうか~偽造(文書の成立の真正)を処罰対象とする立場を「形式主義」といい、虚偽作成(文書の内容の真正)を処罰対象とする立場を「実質主義」という。

・公文書については偽造と虚偽作成の双方を処罰対象としている。

・私文書については偽造(有形偽造)のみ処罰が原則(形式主義)。虚偽作成は例外的に処罰。

・文書の意義:文字その他可視的・可読的符号により、一定期間永読する状態で、ある物件の上に意思または観念を表示したもの。

・可視性・可読性~黒板のチョーク記載はOK。音声テープ等は文書にはあたらない。

・証拠性:社会生活における重要な事実についての証拠となるものでなければならない。経済取引の契約書は該当するが、学術論文はあたらない。

★名義人の実在の要否:保護法益は文書に対する公共の信用⇒架空人の実在を一般人が誤信するのであれば文書に対する公共の信用は害される。⇒名義人の実在は不要。

・名義人の記載:名義人の記載があり、名義人を特定できることが必要。(直接記載は必ずしも必要ではなく、文書の内容等から名義人を特定できればOK。~でもこういう言い方すると不透明、過去判例で、X町会議員代表 という表記は特定できないので文書ではないとされた。町会議員については議員団なのか委員会なのかどの代表なのかが分からなかったという事例。)

★写しの文書性~以下の場合は写しも「文書」にあたる。~①写しが原本と同一の意識内容を保有し、②証明文書として原本同様の社会的機能と信用性を有するものと認められるとき。

・写しの名義人は原本の名義人。

・原本が有印の場合、写しも有印と解する(判例)。


公文書偽造等罪(155条)

・有印公文書偽造罪等

・客体:有印公文書または有印公図画。

・行為:有印公文書の偽造(名義人と作成人の人格の同一性を偽る)、有印公文書の変造(権限なく既存の真正に成立した文書の非本質的部分に改ざん・変更を加えること)。

・行使の目的:行使の目的を要する目的犯。行使とは偽造文書を真正な文書として使用すること。使用とは文書の内容を他人に認識させたり、認識可能な状態におくということ。

・補助公務員の作成権限~市役所の市民課の課長が市長名義印鑑証明書を作成⇒偽造ではない。作成者は文書に意思や観念を表示した者、または表示させた者。印鑑証明書は市長が表示させている。市民課の課長を補助する者はどうか。補助者が手数料を払いたくなく、勝手に自分の印鑑証明書を発行するとこういった事象が起こる。⇒判例は「内容の正確性を確保することなど、その者への授権を基礎づける一定の基本的な条件に従う限度において」補助的公務員にも作成権限が認められるとした。

・無韻公文書偽造等罪(155条3項)~例えば物品税証紙を偽造した場合等があたる。

虚偽公文書作成等罪(156条)

・社会的信用の観点から公文書については虚偽作成(無形偽造)も全面的に処罰する。

・主体:作成権限を有する公務員に限定される(真正身分犯)。権限なければ偽造時で処理。補助的公務員でも一定の作成権限は認められるので注意。

・行為:虚偽の公文書・公図画の作成、変造。

・間接正犯~①権限者が権限のない者を利用:間接正犯が成立。②権限のない者が権限者を利用:通説は成立を否定。157条の存在が理由。157条は重要な公文書のみ間接正犯を独立に規定。重要なものでなければ罰しない方針であり、権限のない者が権限者を利用しても156条の間接正犯は成立しない。

・行使の目的を要する目的犯。

公正証書原本等不実記載等罪(157条)

・意義:156条の間接正犯の対象の絞り込み。

・行為:公務員に虚偽の申し出⇒所定の公文書に不実の記載をさせること。

・客体:①権利若しくは義務に関する公正証書の原本 または 同電磁的記録、②免状。鑑札又は旅券。

・未遂は罰する。

・他罪との関係~①公務員と共謀:公務員には156条の虚偽公文書作成罪が成立、私人にも65条1項より同罪の共同正犯が成立する。②共謀なくも、公務員が気付いていた:公務員に権限があれば156条の虚偽公文書作成罪が成立。権限なければ否定。私人には157条が成立。

・上記内容の際に公正証書を詐取したとなるか⇒判例は成立を否定。当然に交付を受けることを予定しているから。

偽造公文書行使等罪(158条)

・154~157条の客体の行使、電磁的記録の供用(他人の使用に供する。公務所に供えて公証をなしうる状態におくこと)をしてはいけないよというもの。

・行為:行使または供用~行使といえるには真正な文書または内容真実な文書として使用しなければならない。また相手も偽造等を知らない者でなければならない。

・行使方法:問わない。

・認識可能性:実際に相手が認識したことは必ずしも必要ではない。認識可能な状態におけば既遂。偽造文書を郵送⇒相手に到着した時点で既遂。偽造データをPCに入力、閲覧可能な状態になれば既遂。逆の事例で良く出題されるが偽造運転免許。携帯しているだけでは行使にあたらず(未遂にもならない)。

・未遂は罰する。

・罪数:公文書偽造罪と虚偽公文書作成罪と本罪は牽連犯。詐欺罪と本罪も牽連犯とするのが判例。

私文書偽造等罪(159条)

◆有印私文書偽造等罪

・客体:有印の私文書・私図画のうち、権利・義務に関するもの(借用書のようなもの)、および事実証明に関するもの(私立大学の入試試験の答案、履歴書等)に限定。

・行為:偽造と変造。~名義人の承諾があった場合偽造となるか?→原則偽造には当たらないのだが、それでは不都合が生じる場合あり(替え玉受験等)。⇒性質上自署性が求められる文書については、名義人の承諾は無効。

・肩書の冒用~「弁護士A」~偽造になるかならないかは文書の性質から判断するしかない。

・代理名義の冒用~「B代理人A」~(判例)本人が名義人~でも代理形式の文書から理解される意思・観念の表示主体はあくまで代理人なので本人とする理論は無理があるのではという批判。⇒文書の性質から判断していくしかない。(文書の性質から、代理人という肩書が当該文書に対する公共の信用の基礎になっている場合は名義人の表示の一部になっていると解する。)

・別名の使用:別名が社会一般的に通用,本人とすぐわかる⇒人格は同一なので原則偽造ではない。~日本に密入国して適法な在留資格をもつ別人の名義で25年生活した者が、再入国申請書を別人名義で作成した場合どうなるか⇒判例は私文書偽造罪(人格の同一性に齟齬あり)。

・行使の目的を要する目的犯。

◆無印私文書偽造罪(159条3項)~権利・義務または事実証明に関する私文書のうち、印章・署名のふされていないものの偽造・変造を処罰。

虚偽診断書作成罪(160条)

・主体:医師に限定(医師が公務員ならば虚偽公文書作成罪で処理)

・客体:公務所に提出すべき診断書、検案書または死亡証書」(国立大学に入学する為に提出する健康診断書はこれにあたる。私大宛はあたらない。)

偽造私文書行使罪(161条)

・条文だけ読んでおこう

電磁的記録不正作出罪・同供用罪(161条の2)

・同様

詔書偽造罪(154条)

・同様

通貨偽造等罪(148条)

・客体:通用する貨幣、紙幣又は銀行券

・行為:偽造または変造。

・行使の目的を要する目的犯。

・未遂は罰する。

偽造通貨行使等罪(148条)

・客体:偽造または変造された貨幣、紙幣または銀行券(総称して偽貨)。

・行為:①行使、②行使の目的での交付、③輸入

・行使:偽貨を真正な通貨として流通におくこと。

・交付:偽貨であることを告げて、または知っている相手に渡すこと。

・未遂は罰する。

★罪数:①通貨を偽造した者が、自ら行使・交付した⇒通貨偽造罪と偽造通貨行使罪が成立。牽連犯となる。②偽造通貨を行使して商品を購入。詐欺罪は本罪に吸収される。(偽造公文書行使罪の時は詐欺罪が成立して牽連犯となることと比較して覚えておくこと。)

まとめ

たまに出てくる分野なのでざっくり押さえておこう。


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