民法 論文 こういう問題が出るかも?

論文 民法

はじめに

論文が近づいてきました。受験前に目を通しておこう。3問ピックアップ。

予想1:賃貸借(契約解除と原状回復・費用償還)

【事案】

AはBに対し、自己所有の甲建物を賃料月額20万円で賃貸し、引き渡した。BはAに無断で甲建物の内部を大改装し、飲食店の営業を開始した。この改装により建物の客観的価値は500万円上昇した。その後、Bが3ヶ月分の賃料を滞納したため、Aは賃料不払いを理由に賃貸借契約を適法に解除した。
AがBに対し建物の明渡しを求めたところ、Bは①改装により建物価値が上がったため有益費500万円を償還せよ、②償還を受けるまでは建物を留置する、③建物に付加した造作(厨房設備等)を買い取れ、と主張した。Bの主張の成否を論じなさい。

【答案構成】

  • 第1:Bの有益費償還請求(民法608条2項)の成否
    • 契約は「終了」しているため請求自体は可能。価格の増加が「現存」する限度で500万円の請求権は認められる。
  • 第2:Bの留置権(民法295条1項)主張の成否(★最重要論点)
    • 有益費債権は建物に関して生じた債権(牽連性あり)だが、Bの賃料不払い(債務不履行)による解除後の留置権行使は、信義則(民法1条2項)上許されない(判例)。
    • したがって、Bは留置権を理由に明渡しを拒むことはできない。
  • 第3:Bの造作買取請求権の成否
    • 借地借家法33条の造作買取請求権は、賃料不払いによる解除の場合には行使できない(判例)。信頼関係を破壊した不誠実な賃借人を保護しないため。
  • 結論:Bの有益費償還請求(金額の請求)のみ認められるが、明渡拒絶と造作買取請求は認められない。


予想問題2:物権(無権代理と即時取得・転売)

【事案】

Aは、自己所有の高額な工作機械(動産)をBに寄託していた。Bは、Aから「機械の処分権限を与えられた代理人である」と嘘をつき、事情を知らないCにこの機械を売却し、現実に引き渡した。Cは善意無過失であった。その後、Cはさらに事情を知る(悪意の)Dにこの機械を転売し、引き渡した。
AがDに対し、所有権に基づいて機械の返還を求めた場合、Aの請求は認められるか。

【答案構成】

  • 第1:Cの所有権取得の成否(無権代理と即時取得の交錯)
    • Bは「Aの代理人」として振る舞っており、自己の権利として処分していないため、本来は即時取得(民法192条)の要件である「取引行為」に当たらないのではないかが問題となる。
    • 判例の立場:無権代理人が本人の名において処分した場合であっても、相手方が善意無過失であれば即時取得が準用・成立する
    • したがって、Cは機械の所有権を有効に取得する。
  • 第2:悪意の転得者Dに対するAの請求(絶対的構成)
    • 前主Cが即時取得によって完全に所有権を取得した以上、その後の転得者Dが「悪意」であっても、Dは有効に所有権を引き継ぐ(絶対的構成・承継取得)。
  • 結論:AのDに対する返還請求は認められない(Dが所有権を主張できる)。
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予想問題3:相続・総則(共同相続と虚偽表示・権利外観(94条2項))

【事案】

Aが死亡し、その子であるBとDが共同相続人となった。相続財産にはA名義の甲土地(登記あり)があった。Bは、Dに無断で、甲土地全体が「Bの単独所有である」とする虚偽の遺産分割協議書を偽造し、B単独名義への相続登記を済ませた。その後、Bは甲土地を事情を知らない善意のCに売却し、移転登記を終えた。
DはCに対し、自己の法定相続分(2分の1)に基づいて、C名義の登記の抹消を請求できるか。

【答案構成】

  • 第1:Bが勝手に処分した「Dの持分(2分の1)」の法律関係
    • BによるDの持分の処分は無権利者による処分であり、原則としてCはDの持分を取得できない。
  • 第2:民法94条2項(類推適用)によるCの保護の成否
    • Dに虚偽の外観(B単独登記)を作ったことについて「帰責事由」があるかが問題となる。
    • 本件ではBが「単に不法に登記を偽造した」だけであり、Dには何ら落ち度(帰責事由)がない。
    • 判例の立場:本人(D)にまったく帰責事由がない場合、たとえ第三者(C)が善意であっても、94条2項類推適用による保護は受けられない。
  • 結論:Dの請求は認められる(CはDの法定相続分2分の1の範囲で登記抹消に応じなければならない)。

まとめ

勝手に考えたものなのでご参考になればというものです。

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